世界最大の資産運用機関Black Rock、サーキュラーエコノミー推進で、英エレン・マッカーサー財団とパートナーシップ締結。初の「サーキュラー・エコノミーファンド」立ち上げ（RIEF）
2019-10-11 23:26:05
世界最大の資産運用ファンドのBlackRockは、サーキュラーエコノミーを推進する英エレン・マッカーサ―財団（ Ellen MacArthur Foundation）とグローバルパートナーシップを結び、初のサーキュラー・エコノミー・ファンド(循環経済ファンド）を立ち上げる。同ファンドは石炭事業と石油・ガス製造業を投資対象外としている。
両者のパートナーシップは、サーキュラーエコノミーに向けたBlack Rockの投資の力と、財団の価値創造機会の力を結集し、気候変動、生物多様性の損失、汚染対策等の主要課題への取り組み加速を目指す。その連携の第一弾が、Black Rockの新ファンドだ。
Black Rockはファンドに自らシードマネーとして2000万㌦を拠出する。ファンドの投資対象は、すでにサーキュラーエコノミーへの移行に向けて、同経済から利益を得ている企業、同経済に貢献している企業等をターゲットにする。
財団はBlack Rockのファンド運用者に対して、ファンドでの投資運用手法に参考になるサーキュラーエコノミーの原則、実践のアドバイスとガイダンス等を提供する。財団はそうしたアドバイスでファンド全体の2％のフィーを得る。
BlackRockはこの夏、非営利の米民間シンクタンク「 Institute for Energy Economics and Financial Analysis （IEEFA）」から、化石燃料関連企業向けの金融リスクを十分評価せず投資を続けた結果、過去10年間で資産価値下落と機会損失コスト合計で約900億㌦（約9兆9000億円）の損失を投資家に与えた、との批判を受けている。http://rief-jp.org/ct6/92432?ctid=69
Black Rockはそうした指摘に対して反論しているが。今回のファンドではIEEFAが指摘した化石燃料関連企業は投資対象外とする。
投資対象企業は3つのカテゴリーに分かれる。事業活動にすでにサーキュラーエコノミー原則を受け入れている「Adopters（適応企業）」。サーキュラーエコノミーに重要でポジティブな影響を与える企業を選出する。
第二は「Enabler（支援企業）」。他の企業に対して、サーキュラー企業になるための革新的ソリューションを提供する企業。シェリングやリセールのプラットフォームの提供、革新的な分別、リサイクル技術等の開発・提供企業が含まれる。
第三が「Beneficiaries（受益企業）」。サーキュラー経済への移行によって利益を享受する企業。たとえばプラスチックのリサイクルへの移行で、生分解性プラスチックや他の代替製品等、需要が増大する企業等が対象となる。
Black Rockの欧州・中東・アフリカ担当の責任者であるRachel Lord氏は「企業や企業を選ぶ消費者の『自覚』が、より持続可能な未来への貢献を支援する。より豊かな未来に向かうには、ビジネスは社会に対する自らのインパクトや実践、本来の原則と連動する企業自体の長期的な価値を踏まえる必要がある」と指摘している。
財団創設者のエレン・マッカーサー氏は「投資家はサーキュラーエコノミーを拡大する上で重要な役割を果たす。たとえば、そうした戦略を持っている企業に対して資本を配分し、サービスを提供し、支援することができる。一方で、サーキュラーエコノミーは、気候変動や、生態系損失、汚染等の主要な課題を解決することで、投資家に新たな価値創造の機会を提供する」と評価している。
同財団のグローバルパートナーには、これまでグーグル、ユニリーバー、フィリップス、ルノーなどのグローバル企業が選出されている。金融機関はBlack Rockが初めて。
マッカーサー氏は「(サーキュラーエコノミーを拡大する）ビジネス界の活動をさらにスケールアップさせるには、金融セクターを仲間に入れる必要がある。今回のBlack Rockとのパートナーシップの締結は、サーキュラーエコノミーに向けた移行期間での重要なステップだ」と位置付けている。
Research Institute for Environmental Finance