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東アフリカでの大規模石油パイプライン計画(EACOP)に参画する三井住友銀行と、参画の可能性がある三菱UFJ銀行に対し、世界19都市で一斉に市民アクション提起(RIEF)

2023-02-24 14:30:36

350orgSMBCキャプチャ

 

 仏エネルギー大手のトタルエナジーズ社が主導して、アフリカで計画している大規模な原油パイプライン事業の「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」に対して、日本の三井住友銀行(SMBC)を含む大手金融機関による資金供給の阻止を求めるグローバルな市民アクションが22日、世界4大陸19都市で一斉に実施された。日本ではSMBCと、協調融資に参加の可能性がある三菱UFJ銀行の本店前等で若者たちによる抗議行動が展開された。

 

 EACOP計画は、ウガンダのティレンガ油田等から採掘する原油(日量21 万6000バレル)を、電気で加熱した形でタンザニアのタ ンガ港から輸出するために、総延長1443kmのパイプラインを建設する計画だ。総事業費は50億㌦(約6700億円)。今年中にも着工の予定とされている。

 

 しかし、パイプラインはビクトリア湖沿いを通る計画で、事故等が生じると、数百万人の生活を支える水資源汚染が懸念されているほか、重要な生態系を保全している自然保護区への影響も指摘されている。また石油生産ピーク時には、年間で石炭火力発電所9基分に相当する3400万㌧のCO2が排出される。こうした環境・社会面での深刻な影響の懸念に抗議する住民や市民団体への人権侵害も多数起きており、訴訟も複数提起されている。

 

 SMBCは、トタルの財務アドバ イザーであるとともに、投融資の大半を占める30億㌦のプロジェクト・ファイナンスの共同幹事行も務めている。他の金融機関では、スタンダードチャータード銀行(子会社のスタンビック銀行ウガンダ経由)と中国工商銀行(ICBC)も財務アドバイザーを務める。共同事業開発企業には、中国国有石油企業の中国海洋石油(CNOOC)、ウガンダ国営石油会社(UNOC)、タンザニア石油開発公社(TPDC)が名を連ねる。

 

 ただ、同事業による環境・社会面の影響の大きさに配慮して、これまでに24の大手銀行が同事業への参加を見送っている。グローバルな環境団体等は、現在、同事業を支援する形のSMBC等に対しても、同事業からの撤退を求めて、この日に「世界一斉アクション」を展開した。

 

 日本での抗議活動を主導した環境NGOの350.org Japanによると、22日昼、東京の三井住友銀行と三菱UFJ銀行の両行本店前で、「EACOPに資金を提供しない」ことを約束するよう求める抗議アクションを実施。約20人の若者や市民の環境活動家が集まった。仙台、名古屋、福岡でも同様の活動が展開され、合計約40人が参加した。海外では、ロンドン、パリ、ニューヨーク、ブリュッセル、ゴマ、カンパラ、ナイロビ、バンクーバーなどで同様のアクションが行われた。

 

 トタルは、今年3月までにEACOP事業に必要な資金調達を目指しているが、環境NGOらによると、その目処は立っておらず、財務アドバイザーのSMBCらに対して資金支援を求めているとされる。日本の大手銀行の中では、みずほ銀行は「環境社会問題が解決されない限りEACOPは支援しない」との立場を示している。だが、三菱UFJ銀行は方針を明確にしておらず、環境団体のアクションの抗議行動の対象となった。

 

 350.org Japanチームリーダー代理の伊与田昌慶氏は「EACOPは、カーボンニュートラル及びエクエータ―原則の約束を真に果たす意思があるか否かをはかるリトマス試験紙。日本の3メガバンクを含む多くの金融機関はカーボンニュートラルを宣言し、エクエーター原則でも大規模な事業への融資に際して環境・社会への悪影響が出ないようにする責任を負っている」と指摘している。

https://world.350.org/ja/press-release/20230223/

https://www.stopeacop.net/banks-checklist

https://www.banktrack.org/download/eacop/oci_ciel_eacop_2022_jpn_vf.pdf