HOME9.中国&アジア |環境NGO「レインフォレスト」。グローバル消費財大手企業10社の「2023年の熱帯林地帯での森林破壊と人権侵害リスク評価」。最高評価はユニリーバ、最低はP&G。日本の花王と日清食品はともに低評価(RIEF) |

環境NGO「レインフォレスト」。グローバル消費財大手企業10社の「2023年の熱帯林地帯での森林破壊と人権侵害リスク評価」。最高評価はユニリーバ、最低はP&G。日本の花王と日清食品はともに低評価(RIEF)

2023-11-19 00:38:01

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 環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク・ジャパン(RAN)は17日、熱帯林地域で森林破壊と人権侵害のリスクが高い産品に関与するグローバル消費財企業10社の、森林保全と人権対応の取り組みを評価するランキングを発表した。サプライチェーンを含む取り組み比較で、もっとも評価が高かったのは英ユニリーバの15点の「C」評価。最下位は米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の3点。日本勢は花王が8点の評価、日清食品ホールディングスは5点で最低ランクの「不可」評価に終わった。

 

  RANのランキングは、「キープ・フォレスト・スタンディング:森林&人権方針ランキング2023」。大手グローバル消費財企業10社を対象に、サプライチェーンでの森林破壊と人権侵害を防ぐための取り組み対応を比較評価するもので、2020年から毎年実施している。

 

 各社が採用する企業方針について、ウェブサイト等での調査・分析、各社へのヒアリングの実施等で評価。森林と人権分野の12項目を24点満点で配点する。合計得点に応じてA(21~24点)、B(17~20点)、C(12~16点)、D(6~11点)、不可(0~5点)の5分類とする。対象企業の10社は、日本の日清食品、花王のほか、ネスレ、ペプシコ、P&G、ユニリーバ、コルゲート・パーモリーブ、フェレロ、モンデリーズ、マース。

 

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 報告書では、パーム油、紙パルプ、大豆、牛肉、カカオ、木材製品など、森林を破壊するリスクのある産品(森林リスク産品)のセクターにおける各社の対応の傾向と動向を分析している。パーム油や紙パルプなど森林リスク産品事業の生産・投融資の国際基準である「森林減少禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止」(NDPE)方針や、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)原則」の実施、人権擁護者への暴力や脅迫への「ゼロトレランス」(不容認)方針の有無等を評価する。

 

 今年の分析では、10社全社が、本来求められる「A」評価には程遠く、欧州連合の森林破壊防止法(EUDR)のような新規制の要件を満たす目処もない、と指摘された。最も高い評価を得たユニリーバは、今年9月、人権擁護者(HRD)を脅迫や迫害から守る方針を公表し、消費財業界での先鞭をつけた点が評価された。

 

 取り組みが最も遅れていると評価された「不可企業」は日清食品を含め、フェレロ、モンデリーズ、P&Gの4社。P&Gは森林リスク産品セクターの横断的方針を公表したが、同時に森林保護の要件を弱め、実質的に取り組み姿勢を後退させたと評価された。

 

 日本の2社のうち、花王は「NDPE適用の範囲」で、森林リスク産品全般の供給業者とその企業グループ全体を適用対象としていることから2点の評価を得た。日清食品はグループ調達方針の環境分野ではNDPE支持を打ち出しているが、NDPE主要項目が明記されているのはパーム油事業のみで森林リスク産品全般ではなく、供給業者にNDPEの採用を義務化していない等から、昨年と同様に得点は得られなかった。

 

 「森林フットプリントの開示」では両社とも開示表明をしたことで1点を得た。ただし、「まだ(表明だけで)開示は実施されていない」と注視されている。「強固なモニタリングとデューデリジェンス」では、花王は森林破壊リスクの高い地域と供給業者事業のモニタリング方法を開示したことで、1点を得た。「問題企業の責任追及」では、日清は6月に「苦情処理リスト」を公開し、違法パーム油生産農園との取引を停止したことで1点を得た。

https://japan.ran.org/wp-content/uploads/2023/11/KFS-Mthod_2023_JP.pdf

https://www.ran.org/kfs-scorecard-jp/

https://japan.ran.org/?p=2233