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日本政府の「GX政策」。COP28の場で、「化石賞」を受賞。国際環境NGOが4期連続で日本政府の「後ろ向きな政策」に対して贈呈。「GXのグリーンウォッシュ性」を認定(RIEF)

2023-12-04 16:18:40

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写真は、日本政府の「代理」の形で、化石賞を「受賞」した日本のNGOの代表㊧。㊨は米国の「代理」=朝日新聞より)

 

 アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開いている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で3日、温暖化対策に後ろ向きな国に毎年、贈られる「化石賞」の初日の選定で、日本政府が選ばれた。同賞は国際環境NGOが世界各国の温暖化対策を評価して、後ろ向きの国に「贈呈」するもので、日本政府は4年連続の不名誉となった。石炭火力発電を温存し、水素・アンモニア混焼やCCS等で排出量を減少させるという日本政府の「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」政策が、うわべだけ環境配慮の「グリーンウォッシュ」だと、COPの場で認定された形だ。

 

 同賞は、1999年から毎年、COPの場で選定されてきた。現在は、国際的な環境NGO団体である気候行動ネットワーク(Climate Action Network  :  CAN)」が主催している。今回のCOP28では「GX」を掲げて、既存の石炭火力発電や原発の温存を図る日本政府のほか、10月の総選挙で右派政権に転じ、気候政策をUターンさせたニュージーランド、「損失と損害」基金への拠出額を「ケチった」 米国の3か国に、まず、贈呈された。

 

 4期連続の不名誉受賞となった日本政府については、「日本には化石燃料に公的資金を提供する『世界的リーダー』として、昨年は「化石賞」を贈ったが、(日本は)これに満足することなく、またもやグランプリに輝いた。岸田首相は『世界の脱炭素化に貢献する』と主張してGX等のイニシアチブを掲げ、グリーンよりもグリーンであるかのように見せようとしているが、国内およびアジア全域で、石炭とガスの寿命を延ばそうとしているのが透けて見える」と、受賞理由を指摘した。

 

 GX政策については「水素・アンモニアを化石燃料と混焼し、火力発電所をずっと先まで稼働させるというグリーンウォッシュ以外の何ものでもないことは明らか。排出量削減を無意味にし、日本のエネルギーの脱炭素化と化石燃料からの脱却の可能性を危うくする。さらに、アジア・ゼロ・エミッション共同体(AZEC)イニシアチブを通じて、これらの『GXウォッシュ技術』を東南アジアに売り込みをかけ、アジア大陸全体で化石燃料ベースのエネルギーを固定化しようとする動きをとっている」と、日本のアジア戦略の「危うさ」を強調している。

 

 COP会場で開かれた「授賞式」では、日本の環境NGO「FoEジャパン」の長田大輝氏が、日本政府の代わりに化石賞を受け取った。メディアによると長田氏は「世界から見ても日本の遅れが著しい。本来は再エネの推進でアジアのリーダーシップを取れる国。一刻も早く政策を改めてほしい」と訴えた。

 

 日本と並んで「化石賞」を受賞したニュージーランドは、10月の総選挙でこれまで気候対策に積極的だった労働党政権が敗れ、右派の国民党を軸とする保守連立政権に代わった。CANは同国について「これまで、ニュージーランドは、先住民の声に耳を傾け、化石燃料の世界的な段階的廃止を唱え、正しいことを言っていたが、新政権はこれらの道を踏み外して、同国の重要な海域での石油・ガス探査計画を発表、先住民主導の闘いを台無しにしようとしている」と述べ、COP28で初めて「化石賞」を受賞した。

 

 米国については、今回の会合の冒頭で合意した「損失と損害」基金の運用に関し、基金への拠出額を1750万㌦と「ケチった」ことを指摘された。主催国のUAEやドイツは各1億㌦を表明したが、米国はこれらの額を大幅に下回る金額(日本はさらに少ない1000万㌦)しか約束しなかった。一方で米国は、イスラエルへの軍事援助に380億㌦、ウクライナでの戦争に600億㌦強を拠出しており、「気候変動の傷を癒すためには、わずかな貢献しかしないのは、偽善の極みだ」と批判した。

 

https://climatenetwork.org/2023/12/03/fossil-of-the-day-3-december-new-zealand-japan-usa/