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国際石油帝石開発、「2050年ネットゼロ」を宣言。CCUS促進や水素事業、再エネ事業等の5本柱の「移行事業」に年200億~300億円を投資へ。社名も「脱炭素」でINPEXに内外統一(RIEF)

2021-02-01 22:05:29

INPEX001キャプチャ

 

 国際石油開発帝石(INPEX)は、「2050年ネットゼロ」を宣言した。CCUS促進による石油・ガス開発等の上流事業のCO2削減をはじめ、水素事業の展開、再生可能エネルギー事業の強化等、5つの事業を柱として、今後の年間投資規模のほぼ1割に相当する年200億~300億円を継続的に投じる。また、社名をINPEXに統一し、「脱炭素」を明確にする。

 

 上田隆之社長が「今後の事業展開~2050 ネットゼロカーボン社会に向けて」を発表した。その中で、同社の気候変動目標として「2050年絶対量ネットゼロ(Scope1+同2)」、中間目標として2030年原単位30 %削減(2019年比)を掲げた。Scope3については、バリューチェーン全体の課題として「すべてのステークホルダーと協調して取り組む」とした。

 

 中長期目標の達成に向けた取り組みとなる、5つの柱の事業は、①上流事業のCO2低減(CCUS推進)②水素事業の展開③再生可能エネル ギーの取組強化と重点化④カーボンリサイクルの推進と新分野事業の開拓⑤森林保全によるCO2吸収の推進、である。

 

 CCUS事業については、新潟・頸城油田で長年、地中注入事業を展開しており、その技術を国内の他地域及び、オーストラリアの天然ガスの主要開発事業であるイクシスでの活用を進める。CCUS等を活用することで、探鉱・開発・操業の各段階での省エネ、エネルギー利用の効率化等を徹底し、カーボンニュートラルLKGを実現するとしている。

 

 水素事業については、天然ガスから水素とCO2を分離、発生するCO2はCCUS技術を活用して地中注入することで、カーボンフリー水素を供給するとしている。海外では開発した水素については、液化水素、アンモニア等に転換、カーボンフリー水素として日本社会に供給する考えだ。

 

 再エネ事業については、海外での石油・ガス開発で培った地熱発電や洋上風力発電事業等への取り組みを強化する。地熱事業では国内だけでなく、世界最大規模のインドネシアのサルーラプロジェクト開発のほか、秋田、北海道での試掘等を進める。洋上風力発電事業では秋田県での能代市・三種町・男鹿市沖での着床式洋上風力発電の実現を目指す。また浮体式洋上風力発電の事業化にも取り組む。

 

 カーボンリサイクル事業では、カーボンフリーメタンの供給によるメタネーション事業を加速化する。また再エネ由来のエネルギーを活用した人工光合成事業を進める。現在、すでにおーすととラリアのダーウィンで人工光合成パネルの実験を実施している。

 

 森林保全によるCO2吸収事業では、これまでオーストラリアでユーカリの植林・管理、サバンナの火災管理プロジェクト等を実施しているほか、今年度からインドネシアで生物多様性保全によってクレジットを生みだすREDD+プロジェクトに取り組んでおり、さらに推進する。

 

 INPEXは今後5年ほどを平均すると、年間2500億~3000億円の投資を実施するが、上記の5つの取り組みに対してはその約1割に相当する年間200億~300億円規模の資金を継続的に投資するとしている。その資金調達では、社内ベンチャーファンド制度を創設するほか、グリーンボンドの発行にも積極的に取り組む。政府のNEDO、JOGMEC等の政策支援資金も活用する、としている。

 

 組織的には、CCUS促進と水素開発を直接担当する社長直属組織の「水素・CCUS 事業開発室」を新設するほか、再エネ取り組みを強化するため、現行の「再生可能エネルギー・電力事業本部」を「再生可能エネルギー・新分野事業本部」に改組し、同本部内に「新分野事業ユニット」を新設する。組織改組は3月1日の予定。

 

   社名を内外で「INPEX」に統合するのは、事業展開をグループ一体となって推進するため、と説明している。現社名の国際石油開発帝石は、2006年に国際石油開発と帝国石油が統合して国際石油開発帝石ホールディングスが発足して以来の名称。新名称には4月1日に変更する。新商号は「株式会社INPEX(英文表記:INPEX CORPORATION)」となる。

https://www.irwebcasting.com/20210127/1/0b05243edc/mov/main/index.html