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サウジアラビア、「2060年ネットゼロ」を宣言。石油・ガス生産は継続。CCUS技術や植林等で温室効果ガスを吸収してオフセット。CCUS事業等に約17兆円を投資(RIEF)

2021-10-24 11:15:41

Saudi002キャプチャ

 サウジアラビアは23日、自国の温室効果ガス排出量を2060年までにネットゼロとする方針を発表した。サウジの実験を持つムハンマド・ビン・サルマン皇太子は目標達成のため、1870億㌦(約21兆円)以上を投じると表明した。ただ、同国での石油生産は引き続き続ける姿勢も強調した。

 

 同日、首都リヤドで開いた「サウジ・グリーン・イニシアティブ」会議で、ムハンマド皇太子が明らかにした。中東の産油国でネットゼロを打ち出したのはアラブ首長国連邦(UAE)に次ぐ。サウジは国連の気候変動枠組み条約事務局(UNFCCC)に、同目標を盛り込んだ「国が決める温暖化対策貢献(NDC)」の改定を提出する。https://www.saudigreeninitiative.org/ja/events/middle-east-green-initiative-summit/

 皇太子は「ネットゼロは『炭素循環経済』を通じて実現し、世界の石油市場の安全と安定を支えるサウジの役割は維持する」とした。パリ協定で削減対象となるのは温室効果ガス排出量の削減であり、同ガス排出の元になる化石燃料の生産自体は削減対象に含まれていない。

サウジのムハンマド・ビン・皇太子
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子

 皇太子は「実質ゼロ排出は『炭素循環経済』を通じて実現し、世界の石油市場の安全と安定を支える」と強調し、温室効果ガス排出量の削減は、石油・ガス火力発電からの排出量削減のほか、CO2を吸収する植林事業、カーボン回収使用貯留(CCUS)事業の普及等で実現するとしている。

 エネルギー相のアブドゥラジズ・ビン・サルマン氏は「わが国はネットゼロ目標の達成に向けてCCUS技術を活用する」と述べた。石油・ガス掘削で開発した旧油田跡地に、回収したCO2等を大量に貯留することが可能なためとみられる。植林はサウジだけで100億本、中東全体で500億本を目指すとしている。

 同国は先に、国連の国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が8月に一部を公表した報告書(AR6)が「再エネを通じた脱炭素化の加速」とした記述に関連して、天然ガス、クリーン化石燃料技術、CCUS、大気中から直接CO2を回収するDAC等の技術の除外を提言したことに強い不満を表明。「これらの技術を活用する方向性を示すべき」と国連に注文をつけたとされている。

 CO2と並ぶ温室効果ガスのメタンの排出についても、2030年までに30%削減を目指す米EUの「グローバルメタン誓約(GMP)」の削減目標と同レベルを目指すことも表明した。

 ネットゼロを宣言する国は、パリ協定参加国のうち、約65カ国に達しているが、達成年限を米欧日のように「2050年」とするか、中国、ロシア等のように「2060年」とするかで、二分される形となってきた。中東のUAEは「2050年」としている。

https://www.arabnews.com/node/1953751/saudi-arabia

https://www.saudigreeninitiative.org/ja/events/middle-east-green-initiative-summit/