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ヤマトホールディングス、フランスの宅配大手DPDグループと、物流分野での温室効果ガス排出量算定での世界基準化で基本合意。ISSB等での企業のScope3開示義務化の流れに対応(RIEF)

2022-07-20 23:18:16

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 ヤマトホールディングスは20日、欧州最大規模の宅配ネットワークのDPDグループ(フランス・パリ)と、温室効果ガス(GHG)排出量算定の世界共通基準化で協力する基本合意書を結んだと発表した。国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)等の基準づくり等で、企業が抱える物流を含むサプライチェーンでの排出量(Scope3)算出の必要性が高まっていることを受け、物流部門のGHG排出量算定基準を共通化することで、取引先企業のScope3把握を支援する。

 

 Scope3把握のニーズは、ISSBのほか、米証券取引委員会(SEC)の気候情報開示規則案にも盛り込まれている。Scope3排出量は、高炭素排出産業ほど多く、Scope1(直接排出量)、同2(光熱費等の間接排出量)に加えて同排出量の開示を義務化することで、企業活動の脱炭素化を確実に進めることにつながる。

 

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 ただ、Scope3の排出量把握のメソドロジーは、各企業、各国・地域によって異なった手法・フォーマット等になっているケースが多い。ISSBの気候・サステナビリティ情報開示案へのコメントでも、投資家はSCope3開示の共通化を求める一方で、開示を要請される企業からは、Scope3の共通ガイダンスを提示してもらいたいという声が多く出ているとされる。

 

 ヤマトとDPDは、Scope3把握に含まれる物流プロセスでのGHG排出量の算定ルールを共通化することで、取引先企業のScope3把握をし易くすることを目指す。物流分野での世界共通算定基準化をリードすることで、同分野での算定基準の主導権を握ることで、物流市場で優位性を確保する狙いもあるようだ。

 

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 ヤマトは「気候変動への対応は国際社会全体の喫緊の課題。各国・個社単位ではなく、パートナーを含めたサプライチェーン全体での対応が求められている。GHG排出量の算定と報告については、物流各社が様々な基準を採用してGHGを算定しており、共通の算定基準を策定する必要性が求められる可能性がある」と説明している。


 両グループはこれまでも、2017年に仏クロノポスト社と輸送における共同で業務提携を行ったほか、2021年には、新型コロナウイルス感染拡大を受けて食品流通の安全性徹底が求められるようになったのを受け、食品の小口保冷輸送の世界基準を構築するためのコンソーシアムを発足させるなどの協力取り組みを進めている。

 

 両社の基本合意では、GHG排出量の世界共通算定基準の検討を第一目標とするとともに、「環境分野におけるノウハウ共有」として、①気候変動の緩和②大気汚染の防止③資源循環の推進④社会と企業のレジリエンス向上、の4分野での協力関係も深める。これらの協力関係を通じて、持続可能な社会およびグリーン物流の実現に向けて連携するとしている。

https://www.yamato-hd.co.jp/news/2022/newsrelease_20220720_1.html

https://www.dpd.com/group/en/news/yamato-dpdgroup-sustainability-agreement/