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焼却で生じるCO2を回収、高付加価値物質「フコキサンチン」を大量生産する「CCU」事業開発で、微細藻類培養技術開発のベンチャー企業と、産業廃棄物処理事業者が連携(RIEF)

2023-04-07 15:07:58

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  微細藻類栽培により、高付加価値物質「フコキサンチン」の製造技術を持つベンチャー企業、アルヌール(東京)と産業廃棄物事業を展開するミダック(静岡県浜松市)は共同で、焼却由来のCO2を回収したうえで、地下等に貯留せずに有効利用するCCU技術の開発に取り組む。利用面では、CO2の削減とともに、がんや糖尿病、肥満等の幅広い解消に期待されるフコキサンチンを生成できる微細藻類の大量連続培養技術の確立を目指す。

 アルヌールはベンチャー企業、パス社の連結子会社で、微細藻類培養技術を使った脱炭素事業の開発を進めている。ミダックは産業廃棄物の一貫処理体制を構築する事業者だが、廃棄物焼却由来のCO2排出量削減が課題としている。両社が連携し、ミダックの施設から排出されるCO2を分離・回収し、アルヌールの藻類培養装置で微細藻類の栽培に活用する。

 共同研究ではアルヌールのR&Dセンターに加え、ミダック富士宮事業所内に新実験室を整備し、両拠点でCCU事業化の研究を推進する。フコキサンチン生成微細藻類の連続培養技術を高めることで、大量生産・安定供給の技術開発を加速させてフコキサンチン事業をビジネス化するとともに、廃棄物処理で生じるCO2排出量の大幅削減を目指す。

 フコキサンチンは、主に昆布・ひじき・ワカメなどの褐藻類の葉緑素に存在するカロテノイドでキサントフィルに属する。(褐藻=フコ)+(キサントフィル=キサンチン)=フコキサンチンとなる。

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 抗酸化作用、抗炎症作用、抗がん作用、血管新生抑制作用などが報告されており、その機能を活用して、がんや糖尿病、肥満等に対する生理的活性が期待され、医薬品、サプリメント、化粧品等の事業が可能になる。ただ、フコキサンチンを生成できる微細藻類の大量連続培養が難しく、安定供給が課題となっている。これまでフコキサンチンの入手元は海藻で自然物のため採取量に限界があり、海藻のフコキサンチンの含有量も極めて低いという問題があった。

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 こうした点がネックとなって、これまで研究用開発・商品化ともに十分には進んでいないのが実情だ。藻類乾燥藻体において、目的物質の含有量が1%を超えていないと、事業化は困難とされる。この点で、アルヌールが使用しているフコキサンチン含有藻類は、研究段階で1%の壁を大きく上回り、大量培養装置により、初めて藻類からのフコキサンチン生産の安定供給が可能なレベルにあるという。


 今回の共同研究によって、焼却炉から発生するCO2を活用してフコキンサンチンの大量生産・安定供給の技術の開発を進める考えだ。CCUは、回収したCO2を地下や海底等に貯留するCCSとは異なり、貯留の代わりに利用プロセスを活用することで、貯留に伴う貯留場所の安全性等の課題を解消できる。加えて、フコキンサンチンのような有価物を生産することで、CCU全体のコストダウンから収益向上につなげる道も拓ける。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/6564/tdnet/2259119/00.pdf

https://www.alnur.jp/news/%E8%84%B1%E7%82%AD%E7%B4%A0%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AB%E5%90%91%E3%81%91%E3%81%9F%E5%BE%AE%E7%B4%B0%E8%97%BB%E9%A1%9E%E5%9F%B9%E9%A4%8Accu%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%85%B1%E5%90%8C%E7%A0%94%E7%A9%B6