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全日空(ANA)。大気中からCO2を直接回収する米テキサスのDAC(大気直接回収)事業者と契約。25年から年間1万㌧のDACクレジットを3年間購入(RIEF)

2023-08-02 12:27:27

Ipointfive001キャプチャ

 (写真は、ANAがクレジット契約を結んだ米DAC企業が開発中のプラントの完成予想画像)

 全日空(ANA)は1日、米企業の1PointFive(米テキサス州)が建設中の大気中のCO2を直接回収するDAC(直接大気回収)プラントから創出するカーボンクレジットの購入契約を結んだと発表した。同社とDACクレジットの購入契約を結んだ国際航空会社はANAが初めてという。ANAのクレジット購入は2025年から年間1万㌧、3年契約とする。国際民間航空機関(ICAO)の合意により、国際航空便を持つ航空会社は2020年以降の温室効果ガス(GHG)排出量を増やさない等の自主規制をとっており、ANAは購入するDACクレジットを排出削減に充当する。

 

 ANAが契約を結んだ1PointFive社は、米国エネルギー企業オキシデンタル・ペトロリアムの子会社。同社が建設中のDACプラントはカナダのカーボン・エンジニアリング社の技術を活用する。

 同社のDAC装置はCCUSシステムの一環に組み込む。回収したCO2は石油・ガスの採掘跡ではなく、地下の塩水帯水層に貯留する。プラントの操業は25年半ばの予定。現在、世界では18件のDACプラントが操業中だが、1PointFiveが建設中のプラントは世界最大の年間50万㌧の吸収量を目指す。

 ANAはグループとして目指すトランジション戦略は、2050年カーボンニュートラル実現を掲げている。持続可能な航空燃料(SAF)の使用等の4つの戦略的アプローチを推進している。DACクレジットの活用はそうしたアプローチの一つに盛り込まれている。運航上の改善・航空機等の技術革新やSAFの活用等では「削減」しきれない残存排出を「除去」する手段と位置付けている。

DACプラントの完成予想画像
DACプラントの完成予想画像

 

 1PointFive社長のMichael Avery氏は「DAC技術はネットゼロを達成する社会をサポートする上で必要とされる、画期的で大規模な炭素除去技術だ。われわれは、ANAのような国際航空をリードする航空会社の気候戦略に合致するために、高品質のDACクレジットを提供できることを嬉しく思う」と述べている。

 ANAの井上慎一社長は「グローバルなカーボンニュートラルの目標に達成することは、ANAの主要優先事項の一つ。われわれはサステナビリティを追求するために、取り得る対策の多様化を積極的に推進している。我々が目指すミッションをさらに促進することに資するサステナブルでイノベーティブな技術とプロセスの評価と投資を継続するうえで、1PointFiveとのパートナーを組むことはポジティブなインパクトを生み出すと期待している」としている。

 https://www.1pointfive.com/ana-carbon-dioxide-removal-purchase-from-1pointfive