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パナソニックと京都大学 「水はじく砂」を商品開発 砂漠緑化の新たな市場開拓へ (各紙)

2013-07-19 15:12:27

これが「水をはじく砂」
これが「水をはじく砂」
これが「水をはじく砂」


パナソニックは京都大学と提携し、同社の炊飯器技術を応用した撥水性物質を活用して、「水をはじく砂」の製造技術を開発した。この砂を地中に埋め込むことで、雨が少ない乾燥地帯でも農業ができ、砂漠地帯の緑化などに大きな威力を発揮することが可能になる。同社は2016年度にも事業化を目指す予定だ。



 家庭になじみのある炊飯器の場合、内釜などに焦げや汚れがつかないように、撥水性物質でコーティングしている。この技術を 微細な砂の表面に施すことで、水は通さずに空気だけを通す砂の層をつくることに成功した。砂粒の表面を数ナノ・メートル(ナノは10億分の1)の厚さの撥水性物質で均等に包むことで、砂の層(約5センチ)にはじかれた水が染みこまず、浮き上がる。一方で、植物の生育に必要な通気性は確保できるという。

この砂を乾燥地の地中の途中に敷き詰めることで、地面に染みこんだ雨水の大部分は同層を利用することで消失せず、一定の工夫をすることで回収できるようになる。また、地下の塩分を含んだ地下水が農地に浸入することも防ぐことができる。

トウモロコシ畑で実施した実験では、畑に染みこんだ雨は水をはじく砂の層(深さ40センチ)を流れてタンクに集まり、約70%を再利用できたという。panasonic20130718-581145-1-L

従来の砂漠緑化対策では、保水性の高いシートを地中に埋めるなどの手法がとられてきた。しかしこれだと、通気性が悪かったり、塩水も通すなどの課題を克服できなかった。同社では、、「撥水砂」を月300トン製造できる装置も開発しており、1トン当たり数千円以下で供給できる経済的な見通しもつけており、実用化にめどをつけた。

今後は、商社などと連携して、アフリカや中東、中央アジアなど、農作物の栽培が難しい乾燥地域で農園の造成サービスなどの事業展開を目指す予定だ。