HOME8.温暖化・気候変動 |経済界合同の温暖化クレジット購入会社、需要減退で14年春解散へ 日本の温暖化対策後退明らかに |

経済界合同の温暖化クレジット購入会社、需要減退で14年春解散へ 日本の温暖化対策後退明らかに

2013-09-14 15:28:03

JCFキャプチャ
JCFキャプチャ日本の主要企業が共同で設立した温暖化ガス排出枠の調達会社「日本カーボンファイナンス」(JCF、本社東京)が来春解散すると報道された。昨年末の京都議定書期間終了後、日本政府が第二約束期間に参加しなかったことから排出枠の需要が減っているため。政府は現在、15年の合意を目指した次期枠組み交渉に取り組んでいるが、2020年目標をどうするかも明確な姿勢が決まっておらず、目標も手段もないまま、国際交渉に臨む可能性も出てきた。


 04年12月に国内33社が出資して日本温暖化ガス削減基金(JGRB)を設立、同基金が大口出資する形で、JCFが設立された。出資企業は東京電力、中部電力、三菱商事、JX日鉱日石エネルギー、トヨタ、東芝、ソニー、日本政策投資銀行、日本輸出入銀行など。




これまで、中国やインド、スリランカなどで再生可能エネルギーの開発や、大型プラントの効率化投資などのCDM事業を展開。各事業が生み出す排出権クレジット(CER)を、国内でのCO2削減にj必要な国内企業に販売してきた。




クレジットの販売実績は、日本の年間の温暖化ガス総排出量の1%程度に相当するCO2換算で1100万トン強に上る。買い手は株主企業だけでなく電力ガスや製造業、商社など国内の有力企業全般に広がっていた。




 日本は京都議定書の第一約束期間(08年から12年)で90年比6%の削減目標を立て、CO2など温暖化ガスの排出削減に取り組んできた。しかし、産業界は排出規制を嫌い、経団連を軸として業界団体ごとに自主的削減目標を立てる方式で対応してきた。JCFはそうした自主的削減の一つの手段として機能してきた。

しかし、12年末で第一約束期間は終了したが、日本はことしからの第二約束期間には参加していない。また前民主党政権時代に、2020年25%削減目標を国際公約としたが、自民党政権になって「ゼロからの見直し」として、目標がないままになっている。

2020年以降のポスト京都の枠組みは15年に合意することが決まっているが、日本政府が20年目標を決めず、自主的削減の有力手段だったJCFも解散ということだと、国際交渉で日本の立場がきわめて不利になる可能性もある。