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国内CO2排出3年連続増、資源エネ庁「原発停止が影響」と説明。だがそもそもCO2高排出産業への配慮で規制を遠ざけてきたからではないか(FGW)

2013-10-02 23:38:01

原発に代わってフル稼働の火力発電所群
原発に代わってフル稼働の火力発電所群
原発に代わってフル稼働の火力発電所群


資源エネルギー庁が2日発表した2012年度のエネルギー需給実績(速報)によると、発電や自動車燃料などのエネルギー消費による国内の二酸化炭素(CO2)排出量は、前年度比2.8%増の12億700万トンだった。京都議定書の削減目標達成は確実となったが、年度ベースでは3年連続で増加した。同庁は、東京電力福島第1原発の事故発生以来の原発停止の影響が大きいとしている。



東電原発事故で、全国54か所の原発は一時、すべて停止された。現在も同様である。このため、各電力会社は既存の石炭火力発電所の再稼働などによって発電量確保に走ったが、政府はエネルギー確保を優先して、CO2排出抑制については何の手立ても打たなかった。このため11年度から、CO2排出量は右肩上がりとなっている。

 

エネルギーから発生するCO2量は国内全体の排出量のうち9割程度を占める。福島事故で全原発が停止した後、いったん関西電力大飯原発4号機が再稼働したが、同原発も点検のため現在は再び停止している。資源エネ庁では、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機など、原子力規制委員会に安全審査が申請された原発の再稼働が遅れれば、CO2排出量の高止まりが続くとみている。

 

一方で、世界的には米国が石炭火力発電所の建設にストップをかける指示をするなど、石炭・ガス火力発電所からのCO2排出には一定の規制がかかる方向となっている。ところが日本では、緊急対応を優先して、旧式の石炭火力発電所の再稼働も認めるなど、従来の経団連中心の自主行動計画自体も破たん状態にある。昨年の民主党政権下ではエネルギーの脱原発化と、温暖化規制の整合性をとる数値目標が定められたが、政権交代で規制実施に向かわなかった。このままでは、ポスト京都の国際協定交渉において、日本は米国からもEUからも取り残される「温暖化原因国」の一つに転落するリスクもある。

 

石炭、ガス等の化石燃料を使う火力発電所への規制導入の議論を高める必要がある。