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長崎・大村湾に浮かぶ世界初の海上空港(長崎空港)で太陽光発電、空港共存型CIS薄型電池採用で 最大規模の29MW発電(スマート・ジャパン)

2014-04-08 12:18:15

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チョープロとソーラーフロンティアは長崎空港に隣接する遊休地35.1haに出力29.1MWのメガソーラーを立ち上げる。光を反射しにくいCIS薄膜太陽電池モジュールを採用することで、空港と共存できる。[畑陽一郎,スマートジャパン]


 

長崎の大村湾に浮かぶ長崎空港は、1975年に開港した世界初の海上空港。元の位置にあった箕島という小島の土砂などを使い、箕島と本土の間に154万m2の用地を造成して作られた。

 

3000mの滑走路の脇には大村臨海工業用地などがさら地として残っており、未利用県有財産として問題視されていた。長崎県は2013年度から2015年度の3年間にわたり「ナガサキ・グリーンニューディール戦略プロジェクト」*1)を立ち上げ、このとき用地をメガソーラーとして活用することが決まった。

 

2013年11月、長崎県は県有地部分22haと長崎県土地開発公社の所有する13.1haを合わせ、「長崎空港隣接地(大村臨海工業用地他)メガソーラー設置運営事業」の企画提案を募集。2013年12月末に応募した7団体からチョープロとソーラーフロンティアが選ばれた。2014年3月31日には両社が県側と合意。用地を賃借し、発電所を立ち上げる。「2014年内に着工し、2015年秋の完成を予定している」(ソーラーフロンティア)。

 

太陽光発電所の規模は出力29.1MW(図)。長崎県内では最も大きく、空港に併設する太陽光発電所としても最大だ。想定年間発電量は公開されていないものの、3000万kWh程度だと考えられる。発電した電力は固定価格買取制度(FIT)を利用して、全量を九州電力に売電する。

 

*1) 6つのプロジェクトからなる。対馬(太陽光、風力、バイオマス熱)、西海(潮流)、五島(超小型モビリティ)、海洋フロンティア(海洋再生可能エネルギー)、海外展開支援(地元企業支援)、長崎未来型エネルギー自給自足団地(スマートハウス支援)である。


yh20140408SolarFrontier_airport_557px.jpg 図2 長崎空港脇に設置した完成予想図 出典:ソーラーフロンティア




CIS薄膜太陽電池が生きる


 

チョープロは長崎を拠点とし、LPガスを供給する企業。太陽光発電事業にも乗り出しており、2012年11月には県内初の大規模太陽光発電所「SOL de 平戸 下中野」(出力959.4kW)を立ち上げている。

 

ソーラーフロンティアはCIS薄膜太陽電池を量産している企業。今回の太陽光発電所にもこの太陽電池を用いる。性能と総合的な経済性の他、航空機の飛行に影響を与えないことが優位点であるという。太陽電池は光を100%吸収することはできないため、どうしても反射が起きる。

 

CIS薄膜太陽電池はこの反射が少ないため、他の太陽電池と比較してまぶしくないと主張する。これを防眩(ぼうげん)性が高いという*2)。「今回、特注品ではなく、通常の製品を使用する。それでも防眩性を保つことができる」(ソーラーフロンティア)。

 

CIS薄膜太陽電池を採用した長崎空港の事例は、関西国際空港に引き続き、国内空港における2例目だという(関連記事)。

*2) 多結晶シリコン太陽電池やシリコン薄膜太陽電池では、光の反射を散乱させることで防眩(ぼうげん)性を持たせた製品が存在する。空港の他、高速道路周辺や住宅屋根に設置する場合に用いられる。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1404/08/news030.html