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IPCC第3部会報告 気温上昇2度C未満の国際目標達成に 温室効果ガス排出量2050年に40〜70%削減 今世紀末ゼロに(毎日)

2014-04-13 23:26:00

ondanka2キャプチャ
ondanka2キャプチャ国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第3作業部会は13日、世界の気温上昇を産業革命前と比べ2度未満に抑える国際目標を達成するには、2050年までに二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを10年比40〜70%減らす必要があるとする新たな報告書を公表した。今世紀末には排出量を少なくともゼロにする必要があるとも指摘した。

 

 ◇新報告書を公表


 

IPCCのパチャウリ議長はベルリンで記者会見し「温暖化対策の高速列車に国際社会のすべての人を乗せ、今すぐ出発させねばならない」と早急に対策を強化するよう訴えた。

 

報告書は、過去40年間に出た人間の活動に由来するCO2が、18世紀の産業革命後の累積排出量の半分を占め、排出が加速していると指摘。経済成長と人口増が大きな要因で、産業革命前に約280ppm(ppmは100万分の1)だった大気中の温室効果ガス濃度は、11年に430ppmに達したと分析した。

その上で、今世紀末の濃度を450ppmに抑えられれば、産業革命後の気温上昇を2度未満に抑えられる可能性が高いと指摘。ただし、大気中濃度はCO2だけで年間2ppm以上のペースで増え続けており、猶予はないとの認識を示した。

450ppmの実現には再生可能エネルギーや原発などの低炭素エネルギーを50年までに10年比で3〜4倍に増やし、特に電力部門ではそれらの比率を現状の30%から80%以上に伸ばす必要があると指摘した。ただし、原発については安全規制や核のごみ処理などの課題を列挙した上で「各種の障壁やリスクが存在する」と慎重な表現にとどめた。

対策コストについても評価を行い、世界全体の経済消費が今世紀中に3〜9倍に伸びる想定でも、30年に1〜4%、50年に2〜6%、2100年に3〜11%の損失にとどまると予測。年間成長率では0.04〜0.14ポイントの鈍化となり、必ずしも経済成長の大きな妨げにならないと結論付けた。

報告書の改定は7年ぶり。温暖化の科学的根拠をまとめた第1作業部会、影響と被害軽減策をまとめた第2作業部会の各報告書と共に、10月に「第5次統合報告書」として公表され、京都議定書後の国際的な温暖化対策の枠組み作りに向けた交渉に影響を与えることになる。【阿部周一】

http://mainichi.jp/feature/news/20140414k0000m040057000c.html