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南極の氷河の下に温暖化で暖かい海水流入 氷を融解 北海道大、調査で解明 過去20年で海水面6mm上昇に(北海道新聞)

2014-07-07 23:25:48

southpoleキャプチャ
southpoleキャプチャ北大低温科学研究所の杉山慎准教授(45)のグループが、南極沿岸の海に張り出した氷河に深さ約400メートルの穴を開け、海底付近の海水温などを調べることに成功した。海底付近に外洋からとみられる比較的暖かい海水が入り込んで氷を解かしている実態が明らかになり、研究グループは「海水が南極の氷を解かすメカニズムの一端が明らかになった」としている。

温暖化で、海水の水温上昇による体積膨張やグリーンランドなどの陸上の氷が解けることで、海水面の上昇が進んでいると指摘されているが、近年は南極の氷の融解による影響も懸念されている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は昨秋まとめた最新報告書で、南極の氷が解けたことにより過去約20年間で海水面が約6ミリ上昇したとしている。

南極では降り積もった雪が分厚い氷となり、内陸部から海へ到達した氷河などが海水で解かされ、南極全体の氷の量は保たれてきた。ただ、近年は海水温上昇で融解量が増え、バランスが崩れているとみられている。

杉山准教授らのグループは2011~12年の第53次南極観測隊に参加。昭和基地付近にある「ラングホブデ氷河」で調査を行った。海に到達した氷河は海に浮いた状態となり、「棚氷」と呼ばれる。この棚氷は、底面が海水に解かされ、沖合に押し出されながら、次第に薄くなる。厚い氷の下でどのように氷が解けていくのか、詳しいことは分かっていない。

杉山准教授らは、南極の氷が陸から離れて海水に接するようになる、棚氷の根元部分に着目。厚さ約400メートルの氷を熱水を噴射する装置を使って貫通させ、氷の底面と海底のわずかな隙間で海水温の計測や映像撮影を行った。

その結果、海水温は、この水深における氷の融点を0・7度上回る氷点下1・5度で、氷を解かすには十分な温度だった。さらに、光が届かない分厚い氷の下にもかかわらず、植物プランクトンや魚類などの生物を確認。外洋の比較的暖かい海水が絶えず循環し、棚氷の下の隅々まで入り込んでいるためとみられる。

杉山准教授は「棚氷の根元部分の海中は、冷たい海水がよどんでいると想像していたが違った。棚氷の下に広がる海は最奥部まで外洋と強く結び付いており、海水温がさらに上昇すれば、南極の氷融解が加速すると推定できる」としている。

 

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/549660.html