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家庭用ヒートポンプ給湯器(エコキュート)のフロン使用製品 東芝キャリアなど7社が販売を視野に。KIKOアンケートで判明(FGW)

2014-08-01 00:57:14

heatpumpキャプチャ
heatpumpキャプチャ気候ネットワーク(KIKO)は、家庭用 ヒートポンプ給湯器(エコキュート)の製造メーカー30 社を対象として、冷媒にフロンHFC32を使った給湯器の開発販売の可否を問うアンケートを実施した。その結果、回答のあった21社中過半の14社は「販売しない」との姿勢を明確にしたが、東芝キャリアなど5社が開発を否定せず、7社が「今後の販売の可能性」を意識していることがわかった。

 

光化学スモッグなどの原因物質となり、強い地球温暖化効果を持つフロン類については、昨年の国会で「改正フロン法」が成立、現在、規制の対象となる指定製品の範囲や目標値などの設定作業が進んでいる。家庭用ヒートポンプ給湯器は、これまで開発当初からフロン類ではなく、CO2を使った自然冷媒の製品が主流だが、今年になってダイキン工業やコロナなどがフロン類のHFCを冷媒に使った製品(R32)を、東京で開いた「VAC&R JAPAN2014 冷凍・空調・暖房展」で公開するなどの動きが出ている。

 

気候ネットワークは、こうした動きは、改正フロン法の趣旨に反するだけでなく、国際的なフロン使用抑制の潮流に逆行すると判断、各製造メーカーに開発・販売の有無を確認するアンケートを実施した。その結果、回答企業21社中16社はフロンHFC32使用の給湯器の開発は明確に否定、販売についても14社が「販売しない」と回答した。

 

これに対して、東芝キャリアは「今後、開発の可能性はある」と回答した。すでに開発しているダイキン工業、コロナのほか、態度を表明しない「無回答」の立場をとったのが、パナソニックと三菱電機。合計5社が開発の可能性を否定していないことになる。

 

また販売面では、「今後販売の可能性はある」と回答したのが、朝日ソーラー、ダイキン工業、トーエネック、東芝キャリアの4社。「無回答」がコロナ、パナソニックの2社。三菱電機は販売を否定する「いいえ」に回答しながら、あえて「現時点では予定はない」との条件を付けて回答してきた。同社は開発への回答でも上記のように、態度を表明しない「無回答」としており、KIKOでは、「三菱は開発・販売組である可能性がある」とみている。同社を含めると、今後の販売の可能性があるのは、7社になる。

 

アンケートを受けてKIKOでは、仮に1 社が販売に踏み切れば、他の大手メーカーがそれに続く可能性があるとみている。特にフロンメーカーとしてHFC冷媒を製造し、R32 給湯器の開発をしたダイキン工業の判断が大きいため、同社の動向を注視していくことにしている。

 

これまでの「改正フロン法」施行の議論において、政府はヒートポンプ給湯器を対象外として今後の拡大を未然に防ぐ措置をとらず、市場の判断へと委ねた。一方で、判断基準案では、「指定要件を満たした場合には、環境影響度を考慮して指定について検討する」とも記載されており、製造メーカー自身が、自然冷媒からフロンへと逆行する事態への歯止めになることが期待される。給湯分野は、家庭における平均的温室効果ガス排出量の3割程度を占め、影響も大きい。


 

http://www.kikonet.org/wp/wp-content/uploads/2014/07/R32_hp_survey_f.pdf