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WWF 「企業の温暖化対策ランキング」第一弾の電気機器メーカー編。 第一位はソニー(WWF)

2014-08-06 10:53:17

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WWFheader_logo【東京発】WWFジャパンは、「企業の温暖化対策ランキング」プロジェクトを立ち上げ、本日、その最初の報告となる『電気機器』の業種に属する日本企業50社※の調査結果を発表した。

ソニーが第1位(100点満点中82.2点)となり、以下 東芝(同81.4点)、コニカミノルタ(同75.7点)が続いた。一方、京都議定書第2約束期間に目標を掲げず、さらに2020年削減目標を極端に引き下げるなど、政府レベルでは温暖化対策の取り組みが停滞している影響を受けてか、自らも2013年以降の温暖化目標を後退させている企業があることも判った。

 

『電気機器』ランキング上位7社(偏差値60以上に相当)



重要7指標:



・ 長期的なビジョン
・ 削減量の単位
・ 省エネルギー目標
・ 再生可能エネルギー目標
・ 総量削減目標の難易度
・ LC全体での排出量把握・開示
・ 第3者による評価




 

企業による温暖化対策の取り組みに関する情報は、環境報告書やCSR報告書(以下、環境報告書類)などで開示されているが、企業によって削減目標の定め方や削減の対象とするガスの種類、開示データの範囲などがバラバラであるため、一般の消費者はもとより関心の高い人々でさえ、開示情報をもとに企業の取り組みを正しく理解し比較を行うことは難しい。

 

結果として、優れた取り組みを行っている企業とそうでない企業とを見分けることも容易ではない。このため、本来の意図とは裏腹に、環境報告書類が企業の温暖化対策の取り組みを横断的に評価し、それを公表するためのツールとして使われることはほとんどない。

 

そこで、本プロジェクトでは、環境報告書類で公開されている情報のみに基づき、各企業の取り組みレベルを同一の指標(全21指標)を用いて評価した。評価指標は、温暖化対策の①目標および実績に対する評価(計11指標)と②情報開示に対する評価(計10指標)の2つの側面から成り、いずれにおいても、温暖化対策の実効性を重視している点が大きな特徴である。

 

たとえば、地球全体で見たときに真に排出削減につながる取り組みであるか、地球の環境容量(二酸化炭素吸収能力)を意識した長期的なビジョンに基づく取り組みであるか、といった点である。全21の指標の中でも、実効性の観点から特に重要な7つの指標は上記の通りである(上記カコミ参照)。

 

今回、ランキング上位に入った7社は、これら7つの重要指標の中でも、特に、長期的なビジョンや温室効果ガスの排出削減目標の難易度、第3者検証による信頼性向上、ライフサイクル全体での排出量の見える化などの項目において高得点を獲得し、その他の企業に差をつけている。

 

一方で、全ての項目においてあまねく得点の高い企業は存在せず、たとえば上位7社でも、省エネルギーや再生可能エネルギーという個別分野における取り組みをより充実させることで、さらに取り組みレベル向上の余地があることも明らかになった。

 

今回の調査から得られた知見として、2013年度以降の目標レベルを後退させている企業があることも、見過ごせないポイントである。たとえば、2012年度までは総量での温室効果ガス(GHG)削減目標を掲げていた企業が、13年度以降ではGHGの原単位目標に切り替えたり(日立製作所など)、中にはGHGではなく消費エネルギーの原単位目標(省エネ目標)に切り替えてしまっているケース(シャープなど)や、13年度以降の新たな目標を設定していない企業(小糸製作所など)まであることが判った。

 

日本は、京都議定書の第1約束期間には「6%削減」という総量削減目標を掲げていたが、第2約束期間には目標を掲げておらず、政府レベルでは温暖化対策の取り組みが停滞している。今回の評価で対象とした12年度までの企業の取り組み実績というのは、国レベルでいえば、ちょうど第1約束期間の終了から自主的目標への移行期に相当する。このため、多くの企業にとって、第1約束期間や、その下での自主行動計画に合わせるかたちで掲げていた2012年までの中期目標・計画からの移行期に当たる。

 

国の目標とは関係なく、長期目標の下で対策を進める強いリーダーシップを持つ企業がある一方で、上記のように目標レベルを後退させている企業が存在することから、国レベルでの目標不在が、残念ながら産業界の取り組みにも少なからず影を落としていることが伺える。国の政策が滞っているときにこそ、中長期のビジョンを持ち、着実に対策を進めている企業が、より高いリーダーシップを発揮することが期待される。

 

  • ※ 50社の内、環境報告書類を発行していない企業が3社あり、いずれも調査の対象外(ランク外)とした。




報告書


 

 

http://www.wwf.or.jp/activities/2014/08/1216305.html