HOME8.温暖化・気候変動 |国連気候サミットを前に 世界118の環境NGOが国連総長に要請。「先進国の途上国向け年1000億㌦の資金供給公約に、民間のグリーンボンドを含めるな」と。日本からFGWが参加(FGW) |

国連気候サミットを前に 世界118の環境NGOが国連総長に要請。「先進国の途上国向け年1000億㌦の資金供給公約に、民間のグリーンボンドを含めるな」と。日本からFGWが参加(FGW)

2014-09-19 23:36:45

潘基文国連事務総長
潘基文国連事務総長
潘基文国連事務総長


 

23日に国連で開かれる気候変動サミットを前に、世界37カ国の118の環境団体、市民団体が、潘基文国連事務総長に対して、先進国のグリーンボンドなどの民間資金の途上国への流入について、2010年のカンクン合意で先進国が公約した年間1000億㌦の途上国支援にカウントするべきではない、とクギをさす要請を行った。

国連気候変動サミットは、来年末に予定されている仏パリでのCOP21に向けたステップと位置付けられている。すでに中国が2020年以降の温室効果ガス削減目標を来年第一四半期に公表する方針を明らかにするなど、先進国と途上国の駆け引きが表面化している。

 

政府間の交渉の一方で、民間金融市場では、気候変動対策の新国際協定の締結をにらんで、途上国で温室効果ガス削減の多様なプロジェクトが立ち上がることを先取りしたグリーンボンドなどの新たな金融の枠組みが進んでいる。気候変動対策のプロジェクトに資金使途をフォーカスするグリーンボンドは、昨年は110億㌦だったが、本年は一気に400億㌦規模に拡大する見通しになっている。

 

こうした民間市場の活発化の一方で、先進国政府は国内の財政事情を抱えている。2010年12月にカンクンで合意した気候変動基金への出資は十分に集まっておらず、先進国が途上国の温暖化対策を実行するために2020年まで年間1000億米ドルを共同で拠出するという合意の実現が危ぶまれている。

 

環境NGOたちは、民間資金の途上国への流入を歓迎するとともに、それらの資金とは別に、先進国政府は国際公約を果たすべきと強調している。またグリーンボンドについても、基準が明確ではなく、グリーンの名のもとに石炭火力等の温暖化抑制と逆行する事業に資金が流れる”グリーン・ウォッシュ”の懸念もあるとして、国連事務総長にグリーンへの資金の流れを明確化することを求めるよう要請している。

 

参加したNGOは世界中の主要な環境団体が名を連ねており、日本からはFinance GreenWatchが唯一署名している。

 

米Freinds of the EarthのKaren Orenstein は「途上国で必要とされている気候変動対策の重要領域の多くは、民間投資だけでは十分に対応できない。気候変動の激化を避けるための対策を推進するために、国際的な公的資金は主要な役割を果たす」と述べ、民間資金とは別に先進国の政府資金の供給を求めている。

 

またグリーンボンド市場の急成長について、民間金融が途上国市場に資金供給する動きを評価する一方で、グリーンの定義が不明確であることから、石炭火力や、原子力発電、大規模ダム建設、廃棄物焼却ごみ発電、有害なバイオマス発電や森林伐採などに活用されないよう、と注意を求めている。

 

米Friends of the Earth, International Rivers、 BankTrackが公表したグリーンボンドについての評価内容 briefing

118団体が国連事務総長に宛てた手紙  here.