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地球を守るため 温室効果ガス排出は「今世紀末ゼロに」 国連IPCCが統合報告書発表。許容可能排出量の3分の2はすでに使用済み(各紙)

2014-11-02 22:50:08

cop21キャプチャ
cop21キャプチャ各紙の報道によると、デンマークのコペンハーゲンで開いていた国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2日、進行する地球温暖化の影響を抑制するためには、今世紀末に温室効果ガス(GHG)の排出量を、世界全体でほぼゼロにする必要がある、と指摘した統合報告書を発表した。

統合報告書の公表は2007年以来、7年ぶりのこと。IPCCの統合報告書については昨年9月以降、今年4月にかけて、3つの作業部会がそれぞれとりまとめている。今回の統合報告書はすでに発表したそれらの作業部会報告の主要な内容を盛り込んだ。統合報告書は、来年末にフランスのパリで開く予定の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)での新枠組み構築に向けた交渉の基礎資料となる。

報告書は、現在の世界各国の排出レベルが今後も続くと、グリーンランドの氷床が1000年以上かけて解け、海面が現状よりも7mも上昇するような「不可逆的な悪影響」をもたらす恐れがあると指摘し、早急な対策強化を国際的に打ち出すように求めた。

また気温上昇を2度未満に抑えるという国際目標を達成するには、「1870年以降の二酸化炭素(CO2)の累積排出量を約2兆9000億トンに抑えなければならない」との見解を統合報告書に盛り込んだ。すでに1兆9000億トンを排出しており、、許容されるCO2排出量は累積であと1兆トンと限られる。さらに、現状の排出動向が続けば、2020~30年の間に上限を超え、目標達成の可能性が閉ざされる可能性があるという。

 

国際温暖化交渉は、2020年以降の温暖化対策を決めるCOP21の行方が焦点だが、今回の報告書で、交渉の枠組みとなるCO2排出量の累積上限と、それを達成する時限とが、一応、定められたことになる。これらの枠内での国際合意となる「パリ・アコード」がまとまるかどうか、人類の英知と勇気が試されそうだ。

 

統合報告書の公表は2007年以来7年ぶりで、昨年9月〜今年4月にかけて三つの作業部会が取りまとめた内容の主要部分を盛り込んだ。各国は15年末の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、京都議定書に代わる20年以降の温室ガス削減の国際枠組みに合意する予定。