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2030年の温室効果ガス削減目標案 日本とロシアが「もっとも不適切」と、環境NGOが格付け(FGW)

2015-04-16 22:39:00

ondanka2キャプチャ





 

日本政府は2030年の温室効果ガスの削減目標値を2013年比で20%減にする方向で調整中だが、国際的な環境NGOのthe Climate Action Tracker(CAT) は、「この目標では何ら新たな対策をとらなくても達成できる水準。全く不適切」と最悪レベルの格付けとした。



 

 

日本は現在、経済産業省と環境省による合同審議会の小委員会で2020年以降2030年までのエネルギー構成と温室効果ガスの削減目標の設定を調整中。原発再稼働を強く促進する経産省は、温室効果ガス削減に効果があるエネルギー源として原発を重視、原発比率20%減を目指している。ondanka2キャプチャ

 

一方、同じく温室効果ガスを基本的に排出しない再生可能エネルギー発電については比率上昇に難色を示している。再エネ発電の比重を引き上げることができるとすれば、原発再稼働の必要性が揺らぐためだ。その結果として、2030年の排出目標を2013年比20%前後の減少にとどめる案が有力という。しかし、同案は90年比では11%減にしかならない。

 

このためCATは、日本の目標は年末にパリで開くCOP21に気候変動行動案の提案を求められている国の中で、ロシアとともに「もっとも不適切」な目標と格付けした。

 

日本とともに「全く不適切」と名指しされたロシアは90年比30%減と、日本よりも高い目標を公表している。しかし、削減の主要な要素は森林による吸収源の過剰評価で、産業部門は90年比11%減に過ぎず、かつこの2030年の排出量は2012年比で38%増加するレベルとなる。

NewClimate InstituteのNiklas Höhne氏は、「日本のような主要排出国で、削減のための経済力も、責任もある国がこのような低い目標を設定するとすれば、全く不十分と評価せざるを得ない」と指摘している。

また他のNGOも、「日本は低炭素社会実現を掲げるが、言っていることとやろうとしていることが一致していない」「日本は自分たちのハイテク産業や経営が被る損失をリカバリーするために低炭素社会に移行する絶好の機会を逸しようとしている」などの声があがっている。

CATは日本、ロシア以外の国が表明している目標案については、 EU, 米国、ノルウェー、メキシコなどは、「中程度」と評価した 。中程度の国についても温暖化による気候変動の激化を防ぐためには、さらなる行動が必要としている。