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環境省 山口・宇部市の石炭火力発電所の「新設認めず」 政府のCO2削減目標達成と矛盾(東京)

2015-06-13 01:00:52

yamaguchiube2キャプチャ

山口県宇部市に計画されている大型石炭火力発電所の建設について、環境省は十二日、二酸化炭素(CO2)削減の観点から「現時点では新設は是認しがたい」とする環境影響評価(アセスメント)の意見書を経済産業省に提出した。

 

東京電力福島第一原発事故後にCO2排出量の多い石炭火力発電所の新設計画が全国で相次ぐ一方で、電力業界全体でのCO2対策の枠組みづくりが遅れている。望月義夫環境相は記者会見で「このまま石炭火力発電所の立地が進めば、(温室効果ガス)削減目標の達成が危ぶまれる」と理由を述べた。

 

 これに対し、宮沢洋一経産相は「事業の実施が否定されたものではないと理解している」と述べた。意見書では、新設のためには早急な枠組み構築が不可欠としている。経産省は電力業界に枠組みづくりを急ぐよう求めていく方針だ。

 

 対象は、電源開発(Jパワー)と大阪ガス、宇部興産の三社が共同出資する「山口宇部パワー」が計画する西沖の山発電所(仮称)。六十万キロワット級の石炭火力発電所二基を二〇一七年に着工し、二三年に1号機の運転開始を目指している。

 

 環境省は、事業者から出された環境影響評価配慮書を基に、環境に与える影響を評価。山口宇部パワーを含め、現時点で計画が出ている石炭火力の新増設を全て認めれば、三〇年度の石炭火力の設備容量が一三年度比千三百万キロワット増え、五千三百万キロワットとなることが判明した。

 

HPに掲載されている環境配慮書では、CO2の値が表示されていない
HPに掲載されている環境配慮書では、CO2の値が表示されていない

 

80%の稼働率で運転すれば、政府が電源構成比率の議論の中で定めた三〇年度の石炭火力の発電量約二千八百十億キロワット時を上回り、CO2削減を妨げる恐れがある。

 

 環境省は一三年に経産省との間で、石炭火力の新設を認める代わりに国の温暖化対策の目標と整合するCO2削減目標を持った業界全体の枠組みをつくることに合意した。しかし、三〇年までに一三年比で26%の温室ガスを削減するという国の目標ができた一方で、電力業界の枠組みづくりは遅れている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015061202000260.html