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フランシスコ・ローマ法王 気候変動問題への緊急の取り組みを世界に呼びかけ。国連総会、米議会で演説(各紙)

2015-09-27 23:34:12

romahououキャプチャ

 フランシスコ・ローマ法王は25日、国連総会で演説し、国連の新開発目標「持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)」を歓迎するとともに、各国の首脳に向けて、貧困、戦争、格差増大などの諸問題を解決するために、まず気候変動問題に挑戦しなければならない、と訴えた。

 

 法王の演説は、SDGsを採択する首脳会合前に行われた。法王は、「利己的で際限のない権力と物質的繁栄を優先する風潮が、自然資源の過剰使用と、弱者や貧者にそのしわ寄せを集中させている」と指摘。そのうえで、「環境は人類の基本的権利である。したがって、環境を傷つけるあらゆる行為は、人間性を傷つけることである」と強調した。

 

 SDGsは今後15年かけて、飢餓や健康、教育、ジェンダー、気候変動などの17分野のグローバル課題の克服を掲げ、各国が一丸となって取り組むことを定める国際目標である。法王はこれらの重要分野の中でも、緊急に対応が必要なものとして、「気候変動への対処」を取り上げた。また、「他の 16分野もほぼすべて、グローバルな気候変動の影響を何らかの形で受けている」と、気候変動への対処が貧困問題等の解決につながるとの見解を示した。

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 法王は国連での演説に先がけ、24日には、ワシントンの米議会で演説した。ここでも、紛争や貧困を逃れる人々への支援や、気候変動対策への取り組みを呼び掛けた。

 
 法王は、現在、欧州で大きな課題となっているシリアやイラク、アフガニスタンなどから多数の難民受け入れ問題に触れ、「この大陸(南北アメリカ)でも、多くの人々がよりよい生活や愛する人、より大きな機会を追い求めて北へと向かっている」と、中米からの移民問題についても言及した。

 法王の両親も、欧州から米大陸に移り住んだ移民でもある。移民の子として法王は、「彼ら(移民)の数に戸惑っていてはいけない、むしろ個人に目を向けるべきだ。彼らの顔を見て、それぞれの話に耳を傾け、この状況に対してできる限りの対応をしよう」と述べ、移民への寛容な対応を、米議員たちに求めた。



 気候変問題動では「人間の活動がもたらした環境悪化の最も深刻な影響を回避していくための、“勇気と責任ある”解決策を模索してもらいたい」と呼び掛けた。米議会では上下院の保守派を中心に、気候変動に対する疑問を持つ向きが少なくない。法王の断固とした演説が米議会内での議論の見直しにつながることを期待したい。