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地球温暖化、2100年までに気温2.7度上昇。COP21に向けた各国の個別削減目標では不十分。 国際共同プロジェクト報告(AFP)

2015-10-02 15:09:07

ondanka2キャプチャ

【10月2日 AFP】地球温暖化による気温の上昇幅は、今世紀中に2.7度に達する可能性があるとの分析結果が1日、発表され、各国が表明している炭素ガス排出量の削減目標案では、気候変動の最悪の予測シナリオを回避するのに不十分との判断が下された。

 地気候研究4機関による共同プロジェクト「クライメート・アクション・トラッカー(Climate Action Tracker、CAT)」の分析結果は、地球全体の気温上昇幅を産業革命以前の水準から2度未満に抑えるという目標にはまだ到達できない見通しであることを改めて確認するものとなったが、その一方で、少しづつではあるが、目標に近づきつつあるとの兆しも示された。

 

 CATの前回の分析では、2100年までに3.1度の気温上昇が予測されていたため、今回の2.7度は、前回からの「著しい改善」であると、CATの声明は数少ない良い知らせとして述べている。ただ、国連が非公式の期日とした10月1日までに提出された各国の目標案では「UNが設定した2度の上限を大きく上回る地球温暖化」が発生するとしており、「これは、多くの政府が不十分な気候目標を提出していることを反映している」とされた。

 

 UNの「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change, IPCC)」によると、世界気温が1~2度上昇するだけで、世界は「相当な」リスクに直面することになるという。このリスクには、深刻な洪水や干ばつの増加、陸地を浸食する海面上昇、病気のまん延や食糧難などがあり、これらはすべて、世界の政情不安を増大させる可能性がある。

 

 CATの分析は「各国の自主的な約束草案(INDC)」として知られる、気候変動につながる温室効果ガスの排出削減についてのそれぞれの目標案を対象に行われた。INDCは、今年12月に仏パリで開かれる第21回締約国会議(COP21)で調印される予定の国連気候変動枠組み条約の基幹となるものだ。

 

初めて予想値が3度以下に

 COP21で2020年以降の温暖化対策の枠組みをめぐり協議している195か国のうち、約140か国が、5年もしくは10年の期間における排出目標を独自に設定したINDCを1日までに提出している。

 

 提出された目標案の中には、世界の排出量の8割近くに相当する排出量上位3国の中国、米国、28か国が加盟する欧州連合(EU)のものが含まれている。

 

 CATの予測には、排出量第4位のインドの削減目標の推定値も含まれている。インドは正式な目標案をまだ提出していないが、自国の目標に関する公式声明を発表している。

 

 CATによる気温上昇の予測値が3度を下回ったのは、分析が始まった2009年以降で今回が初めてとなる。この変化の大部分は、中国の削減案に起因するものだ。中国の目標案は、大気中に最も多く存在する温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)の自国の排出量を2020年代末に減少に転じさせるものとなっている。

 

 CATに参加している研究機関、独非営利団体「クライメート・アナリティックス(Climate Analytics)」の創設者のビル・ヘア氏は「INDCのプロセスは明らかに進歩につながっている」としながらも、その一方で、「だが、2025年と2030年に向けた第1回目の計画では、温暖化を2度未満に抑えられないことを各国政府が正式に認めた上で協議に当たらなければならないのは明白だ」とも指摘している。

 

 CATの分析では、目標の2度を達成するために、温室効果ガスの年間排出量を、2025年には目標数値より110~130億トン、2030年には目標数値より150~170億トンをそれぞれ減らさなければならないことが明らかになった。

 

 現在のINDCに基づくと、2025年の年間排出量は52~54GtCO2e(二酸化炭素換算)、2030年は53~55GtCO2eとなり、現在の年間排出量の約48GtCO2eを上回る見通しだ。

 

 IPCCは、2度目標を達成するために、排出量を2050年までに2010年水準から40~70%削減、2100年までにゼロ近くまたはマイナスに至るまで減少させることを提案している。

 

http://www.afpbb.com/articles/-/3061976?pid=0