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日本の温室効果ガス排出量(速報値) 2014年度は5年ぶりの減少。電力消費の減退、省エネの進展、電力排出原単位改善など貢献(RIEF)

2015-11-28 00:05:34

GHGJapanキャプチャ

  環境省は26日、2014年度の二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの国内排出量が前年度比3.0%減の13億6,500万㌧(CO2 換算、速報値)だった、と発表した。排出量が減ったのは、09年度以来5年ぶり。

 

 同 省は、排出量が5年ぶりに減少した要因として、電力消費量の減少や電力の排出原単位の改善に伴う電力由来のCO2 排出量の減少により、エネルギー起源のCO2 排出量が減少したことなどをあげている。

 

 また、2020年までの削減目標の基準年としている2005年比でも、2.2%減となった。その要因としては、オゾン破壊物質の代替が進んだものの、冷媒分野でハイドロフルオロカーボン類(HFCs)の排出量増加もあった一方、産業部門や運輸部門におけるエネルギー起源のCO2 排出量が減少したことなどを挙げている。

 

 日本の温室効果ガス排出量は、京都議定書の目標(90年比6%削減)を達成したものの、08年のリーマンショックで経済活動が落ち込んだ09年度をボトムとして、以後、排出量が毎年増加していた。13年度は14億800万㌧と京都議定書以前の07年度とほぼ同水準の14億㌧台にまで戻していた。

 

 排出増加の背景としては、11年の東電福島第一原発事故後、全国の原発が稼働停止し、電力会社が火力発電への切り替えを進めたという事情が大きい。しかし、このままCOP21を迎えると、米中をはじめ、主要国が積極的な削減目標を積み上げている中で、日本の実績の悪化ぶりが目立つ懸念も出ていた。

 

 今回の速報値発表で、COP21での面目を辛うじて保てる見通しがついた形だ。ただ、今回の数値はあくまでも速報値。算定に用いた各種統計等の年報値の値が未公表のものは2013 年度の値を代用しており、今後の実績値の公表によって、上下両方向での数値が修正される可能性がある。

 

 2014年度温室効果ガス排出量の減少について、環境NGOの気候ネットワークは、次のような分析をしている。

 

 まず、2014年度の排出量は、関西電力大飯原子力発電所が一時期稼働していた2013年度より3%少なく、また日本の排出量が最も多い14億1200万㌧をつけた2007年度の原発利用率が60.7%だった。この二つの例から言えるのは、原発が温暖化対策に寄与しないこと、省エネと再エネ普及によって脱原発と温室効果ガス排出削減が両立したことだ。

 今回の排出量低下要因の一つに電力消費量の減少があげられている。確かに、2014年度の国内の発電電力量は、2000年以降で最も少ない9101億kWh。今後も省エネが家庭やオフィスで広がり、産業構造の転換も進むことを踏まえると、政府が長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)で2030年度時点の電力需要とする9808億kWhの見積もりが過大であることがはっきりしてきた。

http://www.env.go.jp/press/files/jp/28579.pdf