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大阪ガス、茨城県で計画中の石炭火力発電計画から撤退へ 温暖化対策コストなどネックに(各紙)

2015-12-20 22:36:40

oosakagasuキャプチャ

 各紙の報道によると、大阪ガスは首都圏での電力事業進出のため、茨城県で建設を打ち出していた石炭火力発電所の新設計画から撤退する方針を固めた。

 

 同社では来春の電力小売り全面自由化をにらんで、首都圏での電力事業進出戦略の軸として、商社の丸紅と共同で、大型火力発電所の建設を計画していた。だが、原子力発電所の再稼働で電力需給が緩む見通しのほか、温暖化規制との関係で、CO2排出量の多い石炭火力発電依存では、消費者の選択が得られない可能性があることなどを判断したものとみられる。

 

 日本経済新聞などが報道した。当初、大阪ガスは丸紅と共同で約300億円を投じて、茨城県鹿島地区に出力約10万kWの石炭火力発電所を建設、2017~18年度の稼働を目指していた。報道では、丸紅は今後、大阪ガス以外の協力先を探して、発電所建設を目指す可能性を検討するとしている。

 

 当初案では、大阪ガスは原料となる海外からの石炭荷揚げのための港湾施設や送電線も整備する計画だった。ただ、先にまとまった国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)に基づく2020年以降のCO2の国内排出削減対策に照らし合わせると、現在、国内で計画されている約40の新規火力発電計画は、温暖化削減と抵触する公算が高い。

 

 環境省はすでに、千葉県市原市や、秋田市での石炭火力発電所計画について、環境大臣意見で「是認することはできない」という立場を表明するなど、温暖化対策との整合性を強く求めている。また実際の電力需給も、原発再稼働がない中でも毎年、夏のピーク時を余裕を持って乗り切るなど、企業セクターだけでなく、家庭でも省エネ化が浸透している。

 

 さらに、電力自由化後の小売電力需要においては、価格だけでなく、発電の中身が問われる流れになっている。東京新聞などの調査では、消費者が購入する電力が何で発電されているかを吟味する動きが出ている。このため、石炭依存の電力では、特に都市部での営業力を欠く可能性も出ている。

 

 大阪ガスは、茨城での石炭火力建設計画から撤退するものの、引き続き東日本での電力販売事業は放棄せず、自社電源を開発する方針という。ただ、当面は他社や電力卸売市場などから、販売に必要な電力を調達して賄うという。

 

http://www.osakagas.co.jp/index.html