HOME8.温暖化・気候変動 |日本の「異常暖冬」に対して、米英など各地で豪雨による洪水被害広がる。地球温暖化による気候変動の激化、すでに顕在化。「パリ合意」はもはや、間に合わない(?)(各紙) |

日本の「異常暖冬」に対して、米英など各地で豪雨による洪水被害広がる。地球温暖化による気候変動の激化、すでに顕在化。「パリ合意」はもはや、間に合わない(?)(各紙)

2016-01-05 00:30:57

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 年末年始の世界各地で、地球温暖化の影響がくっきりと顕在化している。日本の「異常な暖冬」の一方で、英国や米国中部、さらに南米のペルーなどでは集中豪雨による洪水被害が拡大している。

 

 ロイター通信などによると、ノルウェーの排他的経済水域(EEZ)にある北海の複数の油田は年末の12月31日、暴風雨の影響で、次々と、生産停止や従業員の避難に追い込まれた。

 

 まず、英石油大手BPは、北海油田の一つ、バルホール油田の近辺で、暴風雨で制御不能になって流された大型の荷船が急接近し、衝突する恐れが出たため、海上に設置した採掘施設のリグから従業員を避難させたと発表した。

 

 また、米石油大手コノコフィリップスも、エコフィスク油田の2鉱区が暴風雨に襲われ操業が不能となったため、生産を中止し、従業員を避難させているという。さらに、トロールガス田でも12月30日、中国企業の採掘用リグが高波の直撃を受けて、作業員の1人が死亡、2人が負傷する事故が起きている。

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 北海を挟んで対岸の英国では、各地で、大雨による洪水被害が深刻化している。コンサルタント会社のPwCによると、英国を12月に襲った3つのストームの影響による被害額は20~28億ポンド(3600億~6000億円)に達し、さらに増大する勢いという。英国を襲った12月の自然災害被害としては、2007年の記録を上回るとみられている。

 

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 一方、米国では、年末から米南部や中西部を襲った荒天の影響で各地で洪水被害が起き、少なくとも31人が死亡した。また、ミシシッピー川の水位も上昇、危険レベルに達しているという。

 

 すでに、ミズーリ州セントルイス地区では洪水が広がり、同地区より南に住む住民たちは、砂袋を積み上げたり、家具を家のより高い階に運ぶなど、近隣の河川の氾濫に怯える日々を過ごしている。

 

 またイリノイ州最南端に位置するアレクサンダー郡では、堤防が複数個所で決壊し、住民らは避難生活を余儀なくされている。ラウナー同州知事は「一部のコミュニティでは93年の大洪水の時よりも深刻な被害が出ている」と述べた。アレクサンダー郡ではすでに5つの堤防が決壊したという。

 

 クリスマス前後に降った大雨の雨水が複数の川に流れ込み、さらに、それらの河川がミシシッピー川に流れ込むため、徐々にミシシッピー川の水位が上昇する格好となっている。同川の下流に位置するミズーリ州南部、イリノイ州、アーカンソー州、テネシー州、ミシシッピ州、ルイジアナ州では、今後、洪水の範囲の拡大が予想される。

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 CNNによると、年始の3日現在、河川沿岸の16州で計800万人が住む地域に洪水警報が発令されている。ミシシッピー川は、年始の3日にはイースト・ケープジラード、4日にカイロ付近で最高水位に達する見込みだという。

 

 テネシー州ではエクソン・モービルがメンフィスにある石油精製関連施設が洪水によって水没するリスクが顕在化したため、操業を一時的に停止しているという。

 

 米国中西部で例年、洪水が起きるのは雪解けの時期に当たる春先。だが、この冬は12月に温暖な気候が続いたことから雨量が増加し、異例の「冬季の洪水」を引き起こしている。洪水が始まった後に気温が低下したことも状況を一層厳しいものにしている。

 

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 南米のペルーではエルニーニョ現象が冬に入っても続き、各地で豪雨をもたらし、洪水になっている。エルニーニョの長期化現象も、温暖化による影響と考えられている。

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