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ボリビア第二の湖 ポーポ湖、琵琶湖の1・5倍の表面積が、温暖化の加速で完全に干上がる(RIEF)

2016-01-25 12:08:33

boriviaキャプチャ

 南米のボリビアで二番目に大きな湖が温暖化の進行で、完全に干上がってしまった。

 

 干上がったのはボリビア中西部のオルロ県の東南部にあるポーポ湖( Lake Poopó)。標高約3,700mにあり、通常の湖水面積は約1,000㎢。琵琶湖よりも5割ほど広い。ラムサール条約による保護湖でもある。

 

 ただ、平均水深は3m以下で、これまでもポーポ湖とチチカカ湖をつなぐデスアグアデロ川からの流入が減ると、干上がることが再三あった。しかし、先月には完全に干上がり、同湖沿岸で漁業などで生計を立てている数百人の住民が立ち往生しているという。

 

 これまでは干上がっても、デスアグアデロ川からの流入水が回復すれば水位が戻ったが、専門家は「もはや回復は不可能だろう」と指摘しているという。その最大の理由は温暖化の進行で水源となる氷河の溶解が加速しており、流入河川水量の増大が見込めないためだ。

 

 ドイツの研究グループによると、ポーポ湖への流入量は2013年時点で、均衡を保つ水準に比べて、1610億リットル分も少ない状況に陥っている。

 

 ドイツの雪氷学者 Dirk Hoffman氏は、「これは気候変動の将来の影響を示す一つの姿だ」と指摘している。化石燃料の大量消費による地球の温暖化の進行が、氷河の氷を溶かし、水量を蒸発させ、生態系を破壊するという負の循環が顕在化した一例というわけだ。

 

 干害を引き起こす他の要素としては、エルニーニョの影響のほか、デスアグアデロ川の支流で鉱業用および農業用の取水が増加していることも影響しているとみられる。

 

 オルロ県によると、プーポ湖の水位はわずか2%を残すのみ。平均3mで最高5mの水位を保った時期もあったというが、「昔話」になっている。生態学者によると、75%の野鳥は姿を消し、100家族以上の地域住民も漁業での生計を維持できないことから、手持ちのラマや羊、アルパカなどを売って生活をしのいでいるという。

 

 研究者の調査によると、温暖化の進行による干害の影響はポーポ湖にとどまらない。Florida Institute of Technologyの生態系学者である Mark B. Bush氏の研究によると、 首都ラパスも今世紀中に破滅的な干害に直面し、食糧や水資源の確保が難しくなると予測している。

 

 環境団体や住民団体からは、適正水量の維持が課題であり続けているポーポ湖の水資源管理に、政府が失敗した「政策の責任」が大きい、との批判も強い。鉱山会社は水量を取水するだけでなく、採掘後の廃棄物で湖の重金属汚染の元凶ともなっているが、十分な対策は打たれて個なった。

 

 政府系の最大の鉱山を含め、100以上の鉱山が廃棄物を十分に処理せずに河川に投棄しているという。同湖の湖底にはカドミウムや鉛などの重金属類が大量に堆積していることが指摘されている。しかし、政府はポーポ湖が堆積して干上がる原因は自然現象で、鉱山の廃棄物ではないと主張している。

 

http://www.theguardian.com/world/2016/jan/22/bolivias-second-largest-lake-dries-up-and-may-be-gone-forever-lost-to-climate-change