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「グローバルグリーン金融センター指数(GGFI)」公表。最もグリーンな金融市場はロンドン。東京は前回から7つランクを下げ過去最低の41位。GX政策への「疑念」が評価に反映か(RIEF)

2024-04-24 18:24:42

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  国際金融市場のグリーン度を評価する「Global Green Finance Index(GGFI 13)」が23日、公表された。世界の金融市場でのグリーンファイナンスの普及状況を半年ごとに評価するもので、英ロンドンが半年前の調査に引き続きトップの座を維持した。2位だった米ニューヨークは4位に下がり、代わってスイス勢のジュネーブとチューリッヒが2位、3位を占めた。シンガポールが6位でアジア・太平洋地域でトップとなった。東京は前回の34位から一気に7つランクを下げ、過去最低の41位だった。

 

 同調査は、英シンクタンクZ/Yen Groupが2018年から半年ごとに行っている。対象とした各国の金融センターは前回より2都市増えて96都市。評価は第一段階として、各国の金融センターの専門家によるオンライン質問での格付評価(10段階)を踏まえ、次いで、国連、世界銀行、OECD等を含む第三者機関が公表する150の評価要因に基づいた定量的な評価を加味して算出する手法だ。https://rief-jp.org/ct6/140134?ctid=

 

 同じシンクタンクが、世界の国際金融センターの実力を評価する「グローバル金融センターインデックス(GFCI)」の最新調査では、上位のトップ3は、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールの順となっている。同GFCIのランクでは、東京は前回の20位から一つランクをあげたが、ギリギリで上位20位内となる19位。東京市場は国際金融センターとしても、グリーンファイナンスセンターとしても、「冴えない市場」という評価のようだ。https://rief-jp.org/ct6/143919?ctid=

 

アジア・太平洋地域都市のGGFIランキング
アジア・太平洋地域都市のGGFIランキング。東京の位置はどこでしょうか?

 

 世界全体の脱炭素化の流れを受け、グリーン&サステナブルファイナンスに取り組む金融機関の増大と、金融市場のグリーン化整備が進んでいることを反映し、各センターのグリーン度評価のスコアは平均で4.21%増加するなど、全体的に金融市場のグリーン化が進進展していることが、今回の調査でも明瞭になった。

 

 調査全体では、最もインパクトのあるグリーンファイナンス分野での取り組みとして、エネルギー効率化投資(省エネ)、化石燃料事業への投資見直し、グリーン保険の3分野が高い評価を受けた。グリーンファイナンスを促進する主要ドライバーとしては、リスクマネジメントフレームワークの整備、国際的イニシアティブ、再生可能エネルギーの3分野への取り組みが上位にランクされた。

 

 グリーンファイナンスセンターのトップの座を維持したロンドンと2位ジュネーブとのスコアの差は2ポイント。前回調査の8㌽差から差がかなり狭まっている。場合によると、次回、半年後の調査では逆転する可能性も出てきた。ニューヨークは2位から4位に下がったが、スコアは18㌽アップ。他の市場のスコア上昇が大きく、結果的に順位を下げた形だ。

 

 東京は前回から7つランクを落として、全体の41位にまで下がった。前回調査で大阪がランクされていた順位だ。その大阪は、さらに5つ下げて46位。アジア・太平洋地域のセンターでは、トップがシンガポール(全体で5位)で、2位は韓国・ソウル(同22位)、3位オーストラリア・シドニー(同23位)の順。韓国は6っ位にプサン(同30位)も入った。ともに東京・大阪より上位にランクされている。

 

 中国勢も、4位に深圳(同25位)、5位上海(同28位)を筆頭に、東京よりも上位に、香港を含め、5都市がランクされている。残念なことに東京は、アジアでも中堅以下のグリーンファイナンスセンターでしかないと言わざるを得ない。

 

 東京がグリーンファイナンスセンターとしての評価が低いのは、政府のサステナブルファイナンス政策が、「グリーン」に照準が合わさっておらず、「トランジションファイナンス」として、既存化石燃料事業の延命を最優先する政策をとっていることの影響が大きいとみられる。

 

 日本政府は「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」と称して、そうした化石燃料事業のグリーン転換の可能性をアピールする。だが、グローバルな市場関係者の多くは、GX政策をブラウン事業(鉄鋼、セメント、化学等)の現状維持策とみなしているようだ。そうした日本の政策と金融市場への「疑念」から、東京市場に対する評政策下落し続けていることになる。日本の市場関係者は、依然、旧来の政府頼みの視点のままで、海外の「厳しい目線」には、気づかないふりをしているのかもしれない。