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キヤノン、取引先、原料含めたCO2排出量を常時把握へ まず複写機9モデルで準認定を取得 3年後に全製品に拡大 (各紙)

2012-12-04 13:56:03

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キヤノンは4日、同社の複写機器のうち9モデルが、社団法人産業環境管理協会(JEMAI)が運用するカーボンフットプリントコミュニケーションプログラム(新CFPプログラム)において、複合機では初の「CFP宣言」認定を取得した、と発表した。同宣言は国際標準化機構(ISO)が来年中にまとめる予定のカーボンフットプリントの標準(ISO14067)に準拠しており、キャノンはその先取りをした格好だ。同社はこれに続いて、製品から排出される二酸化炭素(CO2)の排出量を、自社分だけでなく、部材調達先や製品配送の際の物流、使用後の廃棄の委託先なども含めた拡大生産物責任(EPL)ベースで把握し、3年後をめどに全製品について把握・公表する体制をとる。

キャノンの動きは、ISO1467の基準化の動きに即応するもの。今回の複合機の主力機種のCFP把握に加えて、個人向け、産業向けの全産業について、原材料の仕入れ先から物流・廃棄・再利用先等のサプライチェーンを含めたCO2総排出量を把握する作業をし、3年後をめどにキャノン製品全体のカーボン・フットプリントを算出する予定。

企業取り引きにCFPの評価基準を入れることで、取引先自体も排出量削減努力をしないと、キャノンとの取引ができなくなる。一方で、CO2削減を工程の中に組み込んだり、CO2含有の少ない部品、原材料を供給することは、CFPを取り入れる企業との取引拡大にもつながる。またCO2排出量の総把握は、取引先の電力などのエネルギー使用効率をキャノン側が常時、知ることになり、より緊密な協力関係を築ける取引先と、取引を打ち切る先との選別が進むとみられる



カーボン・フットプリントの算定は、我が国でも食品や日用雑貨の一部で採用しているが、部品等、取引先が多様な機械製品に取り入れるケースはまだ少ない。キャノンは、温暖化対応での先進企業としての評価を国際的に勝ち取ることと、サプライチェーンをより強固なところに選別強化することで、2020年から予定されるポスト京都の枠組み下で激化すると思われるグローバル競争への備えを整えたいとの戦略的な意図もありそうだ。


 CFPは欧州企業を中心として、すでに化学の独BASFなどが先行して採用している。キャノンの社内試算の結果によると、原材料調達から廃棄までに3.5トンのCO2を排出するカラー複合機の場合、原材料調達から生産・流通までが排出総量の30%、製品の使用段階が66%を占めたという。メーカー側がCO2排出規制を強化することで、サプライチェーンの取引先のほか、消費者に対しても、使用の際のCO2排出削減を促すことも視野に入ってくると思われる。




 産業界では鉄鋼、セメント、電力などが温暖化規制に後ろ向きの姿勢を変えておらず、日本経団連ベースではCFPの促進は難しい。しかし、すでにグローバル競争に取り組んでいる産業、企業にとっては、環境への対応とエネルギー対応はセットで想定されており、いずれも資源配分を最適化するための重要要因になっている。

http://web.canon.jp/pressrelease/2012/p2012dec04j.html