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.安倍一人勝ちが生んだ小泉フィーバー 弱すぎる脱原発勢力とマスコミの期待 「小泉発言の読み方」(古賀ブログ)
2013-11-09 15:41:44
「原発ゼロを目指すべきだ」と発言した小泉純一郎元首相。新聞もテレビも連日のように取り上げ、一躍時の人になった感がある。いまは一民間人にすぎないというのに、その発信力は相変わらずだ。
発信手段は、講演が中心だが、最初はマスコミ取材なしで、徐々にオープンにしていき、映像配信まで認めるなど、露出のコントロールも戦略的だ。こうした作戦をとられると、どうしても、「何があるのか」と、マスコミだけでなく政治家までもが、ますます憶測をめぐらすことになる。
これだけ小泉フィーバーが過熱する原因の一つに、実は、安倍政権が野党に比べて圧倒的優位にある一方、野党側は、民主、維新、みんなを含め、共産党を除いて、いわば党の存立基盤が揺らぎかねないほどの危機的状況にあるという事情がある。各党とも、自力で危機から脱出する道筋が見えないだけに、どうしても他力本願になりやすい。
こうした事情は、政界だけにとどまらない。一頃の勢いが完全に衰えてしまった脱原発の市民運動。当初の党派を超えた運動が、徐々に左翼系の影響力が強まり、一般市民の間には厭戦ムードが広まってしまった。しかし、潜在的には、まだまだ脱原発のエネルギーは大きい。安倍政権が、傍若無人な振る舞いで、原発推進に舵を切るのを見ながら、「脱原発に強力なリーダーがいれば…」、と臍をかむ人たちも多かったのではないか。
そこに突然現れたのが、かつての国民的ヒーロー小泉純一郎元総理である。安倍政権と戦いたい脱原発勢力の全てが、「もしかしたら、自分たちと共闘できるのではないか」と淡い期待を抱くのは自然な流れだ。
マスコミの政治部にとっても、安倍政権の一人勝ちの状況で、当面選挙もないなぎ状態の中、ネタ不足で困っていたのだから、小泉劇場再来となれば、格好のネタになるということで、「何かことを起こすのではないか」と期待したくなる。その結果、どうしても扱いを大きくするというバイアスがかかるのだ。
■来春までは準備期間
小泉氏が何を考えているのかは、わからないが、当初騒がれたような、政治活動の再開や政界再編の仕掛けという動きにすぐにつながる可能性は低い。
しかし、私が知る範囲でも、様々な勢力が小泉氏に接近している。表に出ているのは、今のところ、渡辺喜美みんなの党代表と社民党の吉田忠智党首ら幹部との会談だ。しかし、これらは、いずれも小泉氏のイニシアティブではなく、渡辺氏、吉田氏側の働きかけによるものだ。小泉氏は、他にも元総理クラスとも連絡を取っているが、しばらくの間は、一人で脱原発キャンペーンを進めるつもりらしい。すぐに徒党を組もうとするような動きは、むしろマイナスだという冷静な判断がそこにはある。
ただ、小泉氏に近い人たちが、小泉氏の代理人であるかのように振舞って、「小泉氏と話をしませんか」と様々な人にアプローチしているようなので、それがまたいろいろな記事や憶測を呼んでいる。いずれにしても、これからも、様々なニュースが流れるだろう。
一方、当の小泉氏は、今は、脱原発の本を執筆中で、その作業が大詰めを迎えているので、それが終わるまでは、講演を続ける以外に大きな動きには出ないと見られる。この本が出版されれば、ベストセラーは間違いなし。今の講演活動は、そのためのセールスキャンペーンだと見ることもできる。
もちろん、それは、凡人が考えるような金儲け目的ではない。ハードカバーなら50万部、新書なら100万部というようなオーダーで本が売れれば、小泉フィーバーもさらにヒートアップするだろう。その後、国民運動がどれくらい盛り上がるかを小泉氏は冷静に見極めるはずだ。もし、盛り上がらなかったとしても、それはそれで、小泉氏に特段の損はない。期待した人々はがっかりするが、小泉氏が何かを約束したわけではないから、批判されることもない。
■消費税増税とともに第2ステップへ
どんなに勢いをつけたところで、すぐに選挙に持ち込むことはできない。選挙が近づかなければ、政権は国民世論に敏感にならない。しかし、15年の統一地方選挙が視野に入ってくる14年の夏あたりからは、世論の動きは徐々に政局に影響を及ぼし始める。
国民運動を盛り上げるには、季節も重要だ。年末までに本を出して、国民の中にある脱原発のエネルギーを冬の間に熟成させていく。その間、小泉氏の動きに呼応する別のリーダーが数人現れて、別個の動きとして、これまでとは違った市民運動が動き出す。そして、来年の春ぐらいから、それらの動きを糾合して一大国民運動に転換していく、というシナリオを描いているのではないだろうか。
来春といえば、消費増税で、国民がその負担を実感する時だ。さまざまな国民の思いを集めて、脱原発キャンペーンが急速に膨れ上がる可能性は十分にある。そして、夏までには、何基かの原発について、再稼動の最終判断の時期が来る。ここで脱原発が盛り上がらなければ、この動きは頓挫する可能性があるが、逆に一気にマグマが噴出する可能性もある。
そのとき、安倍政権は、国政選挙が遠いからと言って、この動きを無視できるのか。安倍政権が無視しようとしても、自民党の中の脱原発勢力が2年後の選挙を考えて、急に動き出すこともありうる。最近は、全くおとなしくなってしまった河野太郎議員が、秋本真利議員ら10人前後の新たなグループを立ち上げる可能性もあるのではないだろうか。
今は手詰まりで動きが出ない野党でも、再編の動きが強まるだろう。ただし、脱原発一本の再編ということになるので、これまでの再編軸とは異なる動きになる可能性がある。民主・みんな・維新の一部のメンバーによる連携が取り沙汰されているが、民主党細野豪志氏は大飯原発再稼動の張本人だし、維新の会の大半のメンバーは原発推進だから、みんなの党の江田憲司氏のように明確な脱原発を掲げる議員との連携が難しくなる可能性もある。もちろん、そのときだけのにわか脱原発派になる者も多いだろうが、国民の目はかなり肥えてきている。厳しい選別が行われることになるだろう。
さらに、今までは予想されなかった、新たな顔ぶれが登場することもありうる。一部メディアには小泉氏と細川護煕(もりひろ)氏の元首相コンビが連携し、新党を結成するとの観測記事も出ている。小泉ファンと細川ファンはかなり客層が違う。新党結成とまでは行かなくても、保守、リベラルなど多様な人材を巻き込む面白い運動になる可能性は十分にあるだろう。
■最終段階の主役が見えない
小泉元首相が中心となり、これらの勢力を糾合し、最終的に2016年の衆参の選挙において、かつての郵政政局のように「脱原発ワン・イシュー選挙」で、安倍首相との対決構図を作り出すことに成功すれば、脱原発派が勝利する可能性は十分にある。
だが、小泉元首相の脱原発宣言がそこまでの生臭い狙いをもって行われたのかというと、現段階では、どうもそうではないのではないかというのが、私の見立てだ。
まず、小泉氏に政界復帰への色気は見えない。脱原発を標榜するようになったのは権力に欲づく政治行動ではなく、政界引退後に人間としての新たな哲学に目覚めただけのことかもしれない。
ただし、前述した、国民を挙げての大フィーバーが実現した時に、「人間の考えは変わるんだよ」と言って、政治の表舞台に飛び出すことも絶対にないとは言い切れず、その可能性は考えておいたほうがいい。というより、そう思わないと面白くない、というところだろうか。
もし、小泉氏が、今の言葉通り、政治家になることはないとした場合、脱原発を実現する政治的リーダーは誰なのか。実は、それが、最大の問題だ。
自民党内では、河野太郎氏が最有力候補だが、彼は最近は妙におとなしい。今のままでは、難しいだろう。最近、急速に脱原発議員として頭角を現してきたのが秋本真利議員だが、彼は政治経験が不足している。
そこで、期待がかかるのが、小泉進次郎議員だ。しかし、周辺の情報では、進次郎氏は、まずは、自民党の中でしっかり実績を積むことを最優先させているという。自分が総理候補になるのは早くて10年後、というくらいに考えているだろう。大統領制ならまだしも、議院内閣制の下では、自民党内である程度の力を持たない限り、一時の人気だけで仮に総理になったとしても、短命で終わるのは確実だ。脚光を浴びるのが早すぎたのが、ちょっと気の毒な感があるが、進次郎氏の今の戦略は極めてまっとうなものといってよいだろう。国民の期待とは裏腹に、「期待のヒーロー」はそう簡単には現れそうにない。
■長期的視点に立った戦略
原発は“時代遅れのテクノロジー”である。安倍総理が長期政権を維持する間に潮目が変わり、世界の趨勢が「原発はやっぱり古いし、危ない」となる可能性は十分ある。
今、小泉元首相が盛んに脱原発を主張しているのは、その時に安倍・自民が「党の原発政策はもともと玉虫色。推進、ゼロ志向の両論があった」と言い訳できる余地を残し、脱原発へとスムーズに政策転換できるようにしておこうという高等戦術ではないかと見る向きもある。
そうであれば、小泉氏としては、あともう少し脱原発の機運を盛り上げて、自民党内の脱原発派が絶滅せずに、いざという時に始動できるくらいのところまで育てれば、目的達成と考えることもできる。
■脱原発の主役は、結局国民しかない
小泉氏は自民党総裁でも、日本国の総理でもない。往年の力はない。眠っている国民を小泉氏一人の力で脱原発に向けて引っ張って欲しいと期待しても、実は、それは儚い夢だ。しかし、国民自身が小泉氏の言葉に勇気付けられて大きなうねりを作り出せば、小泉氏がそれに呼応して、脱原発の動きをさらにステップアップさせる可能性はある。つまり、小泉頼みはやめて、我々自身が動かなければならない。月並みだが、私の結論はそういうことだ。(古賀茂明)
発信手段は、講演が中心だが、最初はマスコミ取材なしで、徐々にオープンにしていき、映像配信まで認めるなど、露出のコントロールも戦略的だ。こうした作戦をとられると、どうしても、「何があるのか」と、マスコミだけでなく政治家までもが、ますます憶測をめぐらすことになる。
これだけ小泉フィーバーが過熱する原因の一つに、実は、安倍政権が野党に比べて圧倒的優位にある一方、野党側は、民主、維新、みんなを含め、共産党を除いて、いわば党の存立基盤が揺らぎかねないほどの危機的状況にあるという事情がある。各党とも、自力で危機から脱出する道筋が見えないだけに、どうしても他力本願になりやすい。
こうした事情は、政界だけにとどまらない。一頃の勢いが完全に衰えてしまった脱原発の市民運動。当初の党派を超えた運動が、徐々に左翼系の影響力が強まり、一般市民の間には厭戦ムードが広まってしまった。しかし、潜在的には、まだまだ脱原発のエネルギーは大きい。安倍政権が、傍若無人な振る舞いで、原発推進に舵を切るのを見ながら、「脱原発に強力なリーダーがいれば…」、と臍をかむ人たちも多かったのではないか。
そこに突然現れたのが、かつての国民的ヒーロー小泉純一郎元総理である。安倍政権と戦いたい脱原発勢力の全てが、「もしかしたら、自分たちと共闘できるのではないか」と淡い期待を抱くのは自然な流れだ。
マスコミの政治部にとっても、安倍政権の一人勝ちの状況で、当面選挙もないなぎ状態の中、ネタ不足で困っていたのだから、小泉劇場再来となれば、格好のネタになるということで、「何かことを起こすのではないか」と期待したくなる。その結果、どうしても扱いを大きくするというバイアスがかかるのだ。
■来春までは準備期間
小泉氏が何を考えているのかは、わからないが、当初騒がれたような、政治活動の再開や政界再編の仕掛けという動きにすぐにつながる可能性は低い。
しかし、私が知る範囲でも、様々な勢力が小泉氏に接近している。表に出ているのは、今のところ、渡辺喜美みんなの党代表と社民党の吉田忠智党首ら幹部との会談だ。しかし、これらは、いずれも小泉氏のイニシアティブではなく、渡辺氏、吉田氏側の働きかけによるものだ。小泉氏は、他にも元総理クラスとも連絡を取っているが、しばらくの間は、一人で脱原発キャンペーンを進めるつもりらしい。すぐに徒党を組もうとするような動きは、むしろマイナスだという冷静な判断がそこにはある。
ただ、小泉氏に近い人たちが、小泉氏の代理人であるかのように振舞って、「小泉氏と話をしませんか」と様々な人にアプローチしているようなので、それがまたいろいろな記事や憶測を呼んでいる。いずれにしても、これからも、様々なニュースが流れるだろう。
一方、当の小泉氏は、今は、脱原発の本を執筆中で、その作業が大詰めを迎えているので、それが終わるまでは、講演を続ける以外に大きな動きには出ないと見られる。この本が出版されれば、ベストセラーは間違いなし。今の講演活動は、そのためのセールスキャンペーンだと見ることもできる。
もちろん、それは、凡人が考えるような金儲け目的ではない。ハードカバーなら50万部、新書なら100万部というようなオーダーで本が売れれば、小泉フィーバーもさらにヒートアップするだろう。その後、国民運動がどれくらい盛り上がるかを小泉氏は冷静に見極めるはずだ。もし、盛り上がらなかったとしても、それはそれで、小泉氏に特段の損はない。期待した人々はがっかりするが、小泉氏が何かを約束したわけではないから、批判されることもない。
■消費税増税とともに第2ステップへ
どんなに勢いをつけたところで、すぐに選挙に持ち込むことはできない。選挙が近づかなければ、政権は国民世論に敏感にならない。しかし、15年の統一地方選挙が視野に入ってくる14年の夏あたりからは、世論の動きは徐々に政局に影響を及ぼし始める。
国民運動を盛り上げるには、季節も重要だ。年末までに本を出して、国民の中にある脱原発のエネルギーを冬の間に熟成させていく。その間、小泉氏の動きに呼応する別のリーダーが数人現れて、別個の動きとして、これまでとは違った市民運動が動き出す。そして、来年の春ぐらいから、それらの動きを糾合して一大国民運動に転換していく、というシナリオを描いているのではないだろうか。
来春といえば、消費増税で、国民がその負担を実感する時だ。さまざまな国民の思いを集めて、脱原発キャンペーンが急速に膨れ上がる可能性は十分にある。そして、夏までには、何基かの原発について、再稼動の最終判断の時期が来る。ここで脱原発が盛り上がらなければ、この動きは頓挫する可能性があるが、逆に一気にマグマが噴出する可能性もある。
そのとき、安倍政権は、国政選挙が遠いからと言って、この動きを無視できるのか。安倍政権が無視しようとしても、自民党の中の脱原発勢力が2年後の選挙を考えて、急に動き出すこともありうる。最近は、全くおとなしくなってしまった河野太郎議員が、秋本真利議員ら10人前後の新たなグループを立ち上げる可能性もあるのではないだろうか。
今は手詰まりで動きが出ない野党でも、再編の動きが強まるだろう。ただし、脱原発一本の再編ということになるので、これまでの再編軸とは異なる動きになる可能性がある。民主・みんな・維新の一部のメンバーによる連携が取り沙汰されているが、民主党細野豪志氏は大飯原発再稼動の張本人だし、維新の会の大半のメンバーは原発推進だから、みんなの党の江田憲司氏のように明確な脱原発を掲げる議員との連携が難しくなる可能性もある。もちろん、そのときだけのにわか脱原発派になる者も多いだろうが、国民の目はかなり肥えてきている。厳しい選別が行われることになるだろう。
さらに、今までは予想されなかった、新たな顔ぶれが登場することもありうる。一部メディアには小泉氏と細川護煕(もりひろ)氏の元首相コンビが連携し、新党を結成するとの観測記事も出ている。小泉ファンと細川ファンはかなり客層が違う。新党結成とまでは行かなくても、保守、リベラルなど多様な人材を巻き込む面白い運動になる可能性は十分にあるだろう。
■最終段階の主役が見えない
小泉元首相が中心となり、これらの勢力を糾合し、最終的に2016年の衆参の選挙において、かつての郵政政局のように「脱原発ワン・イシュー選挙」で、安倍首相との対決構図を作り出すことに成功すれば、脱原発派が勝利する可能性は十分にある。
だが、小泉元首相の脱原発宣言がそこまでの生臭い狙いをもって行われたのかというと、現段階では、どうもそうではないのではないかというのが、私の見立てだ。
まず、小泉氏に政界復帰への色気は見えない。脱原発を標榜するようになったのは権力に欲づく政治行動ではなく、政界引退後に人間としての新たな哲学に目覚めただけのことかもしれない。
ただし、前述した、国民を挙げての大フィーバーが実現した時に、「人間の考えは変わるんだよ」と言って、政治の表舞台に飛び出すことも絶対にないとは言い切れず、その可能性は考えておいたほうがいい。というより、そう思わないと面白くない、というところだろうか。
もし、小泉氏が、今の言葉通り、政治家になることはないとした場合、脱原発を実現する政治的リーダーは誰なのか。実は、それが、最大の問題だ。
自民党内では、河野太郎氏が最有力候補だが、彼は最近は妙におとなしい。今のままでは、難しいだろう。最近、急速に脱原発議員として頭角を現してきたのが秋本真利議員だが、彼は政治経験が不足している。
そこで、期待がかかるのが、小泉進次郎議員だ。しかし、周辺の情報では、進次郎氏は、まずは、自民党の中でしっかり実績を積むことを最優先させているという。自分が総理候補になるのは早くて10年後、というくらいに考えているだろう。大統領制ならまだしも、議院内閣制の下では、自民党内である程度の力を持たない限り、一時の人気だけで仮に総理になったとしても、短命で終わるのは確実だ。脚光を浴びるのが早すぎたのが、ちょっと気の毒な感があるが、進次郎氏の今の戦略は極めてまっとうなものといってよいだろう。国民の期待とは裏腹に、「期待のヒーロー」はそう簡単には現れそうにない。
■長期的視点に立った戦略
原発は“時代遅れのテクノロジー”である。安倍総理が長期政権を維持する間に潮目が変わり、世界の趨勢が「原発はやっぱり古いし、危ない」となる可能性は十分ある。
今、小泉元首相が盛んに脱原発を主張しているのは、その時に安倍・自民が「党の原発政策はもともと玉虫色。推進、ゼロ志向の両論があった」と言い訳できる余地を残し、脱原発へとスムーズに政策転換できるようにしておこうという高等戦術ではないかと見る向きもある。
そうであれば、小泉氏としては、あともう少し脱原発の機運を盛り上げて、自民党内の脱原発派が絶滅せずに、いざという時に始動できるくらいのところまで育てれば、目的達成と考えることもできる。
■脱原発の主役は、結局国民しかない
小泉氏は自民党総裁でも、日本国の総理でもない。往年の力はない。眠っている国民を小泉氏一人の力で脱原発に向けて引っ張って欲しいと期待しても、実は、それは儚い夢だ。しかし、国民自身が小泉氏の言葉に勇気付けられて大きなうねりを作り出せば、小泉氏がそれに呼応して、脱原発の動きをさらにステップアップさせる可能性はある。つまり、小泉頼みはやめて、我々自身が動かなければならない。月並みだが、私の結論はそういうことだ。(古賀茂明)