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東電、福島第一原発作業員に日当1万円増額。だがピンハネ対策は不明、元請の鹿島、大林組等は、下請への監視義務を果たせ(各紙)

2013-11-09 16:09:52

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fukushimaimages東京電力は八日、福島第一原発での作業員の労働環境の改善策などをまとめた緊急安全対策を打ち出した。原発作業員の人員確保が難しくなってきたことを受け、来月から下請け作業員の日当を現行の1万円から2万円に増額する。ただ、下請け企業で問題化している中間企業等による”ピンンハネ”や中抜きなどの行為が是正されるかは不明。

 

また、下請け企業が安定して作業員を集めやすくなるよう、今月から作業に習熟した企業に継続的に発注する方式を取り入れることも表明した。

 


 東電はこれまで赤字転落を避けるため、コスト削減を最優先し、安さ重視の競争入札を拡大してきた。しかし、作業員は、原発事故現場において、通常の土木事業よりも安全面、技術面で高い能力や環境適応を求められるにもかかわらず、一般的な土木作業と同等の価格での入札が多く、現場に詳しい企業が受注できなくなっていた。

 

さらに、元請から中間業者を複数介在させ、下請けに至るまで、多段階の下請け構造が放置されていることから、実際の現場作業員の受け取る日当は八千円程度という状態も起きていた。さらに、下請け企業の多くは、次の仕事が取れるかどうか分からないことから、作業員を常時確保せず、解雇するケースが増えていた。また作業員も、事故原発の処理よりも、被ばくの心配が少なく、国から危険手当が出る除染作業を選択する人が増えていた。




 

このままではこれから本格化する原発廃炉に従事する作業員の必要人数を確保できない懸念も指摘されていた。また先日の山本太郎参院議員の天皇陛下”直訴”事件も、こうした原発作業員の実態の改善を求める要請も含まれていたとされる。今回の対策は作業員の実態を受けて、ようやく原発作業員対策として、日当の上乗せや、下請け企業には随意契約で継続的に発注することで、状況の改善を図ることにした。

 

ただ、日当の上乗せ分は東電が元請けに支払う形で、中抜きされず確実に作業員に届くかどうか、不安が残る。広瀬氏は「元請けにお金をどこにどう流せとは指定できない。ただ、公開の場で日当が一万円増えると表明すれば、作業員の皆さんが上乗せを知ることになる」と述べた。作業の元請は、大手ゼネコンの鹿島や大林組などであり、これらの企業は社会的責任を果たすうえでも、明確な資金の流れを国民に示す必要があるだろう。