HOME |「原発被害からの復興を再エネで」 福島県原発避難区域内での再生エネ発電の売電収入で地域復興支援、福島県が事業展開へ。年間約1億円を復興に活用。来年度にも開始。すでに県内10数社参加の意思(福島民報) |

「原発被害からの復興を再エネで」 福島県原発避難区域内での再生エネ発電の売電収入で地域復興支援、福島県が事業展開へ。年間約1億円を復興に活用。来年度にも開始。すでに県内10数社参加の意思(福島民報)

2015-07-21 11:44:14

iidate7710

福島県は、東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域で民間事業者が発電した再生可能エネルギーの収益の一部を復興支援に活用する事業を、早ければ平成28年度中に開始する方針を固めた。

 同県内の10数事業者が参加する予定で、事業が順調に進むと、年間1億円近い事業費を確保できる見通し。県は事業の実施主体となる官民一体の協議会を今月末に設立し、事業化へ動きを本格化させる。

 

民間事業者は東電や東北電力の送電網に接続し、県から発電・送電の設備投資に対する補助金を受ける代わりに、出力設備1メガワット当たり年間100~200万円程度を協議会に収める。事業費は基金に積み立て、復興支援に役立てる。

 

 県によると、6月末までに県内の10数事業者から補助申請があった。県の審査で補助金交付が確定すれば、協議会への正式参加となる。一事業者当たり1メガワット~10メガワット程度の発電規模を想定している。施設が拡張されれば、基金の年間積立額も増える仕組みになっている。

 

 避難区域で発電した電力の全量受け入れを表明している東電は今年度、送電網の要所となる新福島変電所(富岡町)の改修事業に着手。28年度中に段階的に接続し、送電が可能になる見通しも立った。発電事業者は変電所の改修状況に合わせて順次、施設を整備する。

 

 協議会事務局を担う県は、復興事業を財政支援する態勢が整ったと判断。補助金の財源を拠出する国、避難区域が設定された12市町村、東電、東北電力、金融機関、発電事業者らと協議会を設立し、28年度中の事業開始へ準備を進める考えだ。

 

 国が居住制限、避難指示解除準備両区域について29年3月までの避難指示解除方針を打ち出したことを受け、協議会が支援する復興事業は、産業振興を支える人材育成や住民帰還の後押しが中心となる。

 

 人材育成では、太陽光発電を中心とする各種設備の保守管理に従事する専門技術者を育てるため、テクノアカデミー浜や福島高専の教育機関、発電事業者などへの財政支援を想定している。

 

 さらに、避難区域という観点から、地域再生や交流拡大にも力を入れる。地元市町村や民間団体が避難指示解除後の住民のコミュニティーを維持するために開催する交流事業、高齢者の見守り活動などを補助する予定だ。農業再生や観光誘客、再生可能エネルギーの啓発活動などへの支援も検討する。

※復興支援目的の再生可能エネルギー発電への補助事業 県による設備投資への補助金が受けられる発電事業は太陽光や風力、バイオマスなどがあるが、当面は民間事業者が参入しやすい太陽光が中心となる見込みだ。

 

発電事業、復興支援事業の対象地域は、双葉郡など12市町村の避難区域、または避難指示が解除された地域となる。補助対象は県内に本社を置くか、県内資本が3分の1以上ある民間事業者。

 

補助率は、太陽光パネルなどの発電設備整備費が10分の1以内(県内本社の中小企業は5分の1以内)で上限3億円(同6億円)、蓄電池・送電線整備費が3分の2以内で上限7億円。国が平成26年度補正予算に計上した92億円を活用する。

 

http://www.minpo.jp/news/detail/2015072124191