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世界の気温。今年は観測史上、もっとも暑い年になる公算大。国連の世界気象機関(WMO)が見通し公表(RIEF)

2016-11-16 00:55:12

WMOキャプチャ

 

  国連の世界気象機関(WMO)は、今年(2016)は観測史上もっとも暑い年だった昨年を更新して、最暑年になる見通しを示した。3年連続で毎年、最暑年を更新することになる。産業革命前からの世界の気温上昇はすでに1.2℃となり、パリ協定の目標である2℃未満に抑えるためには、残り0.8℃の余地しかないことになる。

 

 WMOはモロッコのマラケシュで開いている国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)に対して、2016年の気温上昇評価についての暫定版の報告を提出した。最終版は17年初めに公表される予定。同報告書には初めて気候変動による住民への影響度についての分析も入る。

 

  WMOによると、今年1月~9月の世界の平均気温は、1961年~1990年の平均値14℃を0.88℃上回った。特に年の前半の気温が昨年からの強力なエルニーニョ(El Niño)の影響で高かった。10月の速報データも高温が継続しており、年間を通じて、もっとも暑い年になる見通しだ。

 

 今世紀に入ってからの17年間をみても、大半の16年で過去最高の気温上昇を更新しており、気温上昇のトレンドは一貫している。また温室効果ガスの大気中の滞留量も5月にハワイのMauna Loaで407.7ppmともっとも高い月を記録したほか、年間を通じても400ppm台となる見通し。

 

 毎年の気温上昇の更新で、北極海を覆う海氷面積は年初から10月の再氷結期までの間、非常に小さいレベルにとどまった。グリーンランドの氷床の溶融時期も前倒しで早まった。海洋気温はエルニーニョの影響で加速され、沿岸部のサンゴの白化の広がりや、海面上昇などを促進した。

 

 熱波の影響も年間を通じて起きた。1月には南アフリカのPretoriaで、最高気温42.7℃を更新したほか、4月末には、タイのMae Hong Sonで44.6℃、5月にインドのPhalodiで51.0℃、7月にクウェートのMitribahで54.0℃と、記録的な高温が各地で観測された。

 

 一方、ロシアの北極圏地帯では、気温は長期的平均より6~7℃も高かった。他のロシア地方や、米国のアラスカ、北西カナダ地域などでは、少なくとも過去の平均気温を3℃以上上回った。

 

 WMOの事務局長であるPetteri Taalas氏は「昨年、われわれが体験した記録的な猛暑は、今年さらに更新されるだろう。昨年からの強力なエルニーニョの影響は今年後半には消えたが、温暖化の影響による気温上昇は続いている」と指摘している。

 

 その結果、 今年の異常気象でもっとも被害が大きかったのは、ハイチを襲ったハリケーン・マシューだった。年間を通じて、異常気象による社会経済的損失の拡大は世界のあらゆる地域で発生した。

 

 Taalas氏は「気候変動の結果、異常気象の発生率と影響度は高まっている。これまでは何年に一度あるかどうか、と思われたような規模の熱波や洪水が、毎年のように起きている」と被害の増大を強調。

 

 同氏は、こうした環境の中でパリ協定が発効したことの重要性にも言及している。「パリ協定は、歴史的な気温上昇の年に発効し、グローバルなコミットメントを確約した。WMOは協定に基づく各国の温暖化防止対策を後押ししていきたい」。

http://public.wmo.int/en/media/press-release/provisional-wmo-statement-status-of-global-climate-2016