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スウェーデンの大手銀行SEB グリーンボンドのデータベース「緑の図書館」を開設。新規発行体に参考情報を提供。データ化はセカンドオピニオン取得ボンドに限る(RIEF)

2016-12-02 11:51:45

SEBキャプチャ

 

  スウェーデンの大手銀行SEBは、グリーンボンドのデータベースをスタートさせた。「緑の図書館(Green Library)」と名付け、新たにグリーンボンドを発行しようとする組織が利用できる。グリーンボンド市場の共通化、拡大を促すことを目指す。

 

 グローバル市場でのグリーンボンドの第一号は、2007年の欧州投資銀行(EIB)のClimate Awareness Bond(CAB)とされる。ただ、グリーンボンドの名前の債券が発行されたのは翌08年の世界銀行のグリーンボンドから。世銀のグリーンボンドは、世銀とSEBが共同開発したことで知られる。

 

 SEBは、その後も各発行体のグリーンボンドの主幹事を務めるなど、現在もグリーンボンド市場のリーディングプレイヤーとして活動している。今回のデータベース「Green Library」開発も市場の育成が目的。現在、データベースには約130のグリーンボンドのデータが登録されているという。

 

 登録対象となるグリーンボンドは、認証され、コンサルなどによるセカンド・オピニオンが付いていることが条件になる。これからグリーンボンドを発行しようと考える発行体はデータベースにアクセスして、過去の同種のボンド発行の事例や、セカンドオピニオンの枠組みなどを学ぶことができる。

 

 SEBの気候・持続的金融部門を担当するChristopher Flensborg氏は、「データベースで、グリーンボンド発行の出発点となる場を提供したい」としている。

 

 ただ、登録されるグリーンボンドは発行されたすべてのボンドではない。条件としてセカンドオピニオンが付されている必要がある。セカンドオピニオンはESG評価の専門機関が、対象となるボンドのESG評価をして、ボンドのグリーン度にお墨付きを与えるものとされる。

 

 スウェーデンと隣接する北欧のノルウェーには、セカンドオピニオンの代表企業であるCicero社が有名だ。同社は、ノルウェーのオスロ大学と連携している評価会社で、SEBのデータベース利用者も、Ciceroのセカンドオピニオンを活用できる。

 

 Flensborg氏は、グリーンボンドの関連情報を一カ所でまとめて入手できる場があると、各ボンドの品質が向上し、ドキュメントの共通化が進み、市場の拡大につながるとしている。

 

 さらに同氏は、「われわれはグリーンボンドの標準(Standard)を作るつもりはない。枠組みを作ることを通じて、市場参加者を導くことを心がけている。データベースの提供で、発行体が他の発行体の情報を簡単に入手できるようになり、市場の共通化が進む」と指摘している。

 

 当面はセカンドオピニオンの有無が、データベース登録の条件となるが、今後は、格付け機関などが実施する環境アセスメント、監査法人系の環境認証などを取得したグリーンボンドについても、将来、データベースに受け入れることを検討するとしている。

 

 Flensborg氏はさらに、「必ずしもセカンドオピニオンでなくてもいいかもしれない。何かしら、第三者が評価するものが必要だろう。発行体がステークホルダーに対して、自分たちは環境配慮を十分にしている、ということを示せればいい」と付け加えた。

http://sebgroup.com/