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三菱UFJなど3メガバンク、「気候変動リスク」情報を、今夏開示の2017年度有価証券報告書で初開示の方向。TCFDの勧告を踏まえ(各紙)

2018-05-23 18:59:18

FSAキャプチャ

 

  各紙の報道によると、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクは、この夏に公表する有価証券報告書で、気候変動が経営に与えるリスク情報を初めて開示する、という。3メガバンクは炭火力関連企業向け投融資の多さで批判を受けている一方で、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の勧告を支持する署名をしており、具体的な行動をとる必要に迫られている。

 

 3メガバンクのj「気候変動リスク」情報の開示の方針については、産経新聞が報じた。同報道では、「7月にも公表する報告書」としているが、TCFD等で求められているのは、財務報告としての自主的な開示にあることから、2017年度有価証券報告書内で「重要リスク」として明記するとみられる。https://www.sankei.com/premium/news/180524/prm1805240001-n1.html

 現在、各金融機関の有価証券報告書では、「事業等のリスク」として各種リスク要因の開示が行われ入る。例えばMUFGの場合(2016年度報告書)、ビジネス上の事業提携のリスクや、不良債権リスク等など26のリスク表示が行われている。これらの中には自然災害についての記載もあるが、災害に対する銀行拠点のBCP対応等の表記にとどまっており、気候変動の激化が資産価値に及ぼす影響等にまでは触れていない。

 

 欧州の環境NGOによる報告書では、2014年1月~2017年9月の間、新たに石炭火力発電所の建設計画を進めている世界の主要企業120社への融資額で、日本の3メガバンクが突出している。みずほが世界でもっとも多い115.25億米㌦(約1兆2000億円)を融資し、次いMUFGが101.89億米㌦(約1兆1000億円)で2位、SMFGは35.37億米㌦(約3750億円)で5位と、そろって上位にある。http://rief-jp.org/ct6/78130

 

 これらの化石燃料向け融資は、温暖化対策の規制が強化されると、融資リスクとして顕在化する可能性がある。また、気候変動の進展で、それ以外の一般企業向け融資においても、大雨や洪水等の激化によって、工場の操業が停止したり、あるいは工場が水没するといった直接的な温暖化被害のリスクも高まる可能性がある。これらのリスクに対する銀行としての備えをどう説明するのかが、求められている。

 

 金融監督の姿勢も変わりつつある。FDB議長で英イングランド銀行総裁のマーク・カーニー氏は、金融当局による金融機関監督のマクロ・プルーデンス政策の観点から、「銀行や保険会社が、ビジネス全体、その資産負債の両面、さらに十分な長期間にわたって、気候リスクを明確に把握し、リスク削減のための戦略を打ち出す適切なガバナンス体制をとっているかどうかを考慮するために行う」と述べ、伝統的な金融機関の安全性、健全性をチェックする視点に加えて、気候リスクへの対応を問う姿勢を明確化している。http://rief-jp.org/ct6/78419

 

 日本の金融庁は、これまでのところ、同総裁ほど明確に気候変動リスクを評価する姿勢は示していない。ただ、金融庁もTCFDの勧告を支持する立場をとっている。したがって、3メガバンクが自主的に気候変動リスクを重要リスクとして評価、開示することについては、後押しするものとみられる。