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次の放射能汚染、災害より「テロ」で起きる可能性高い=米専門家(Reuters)

2011-06-26 11:20:26

[ウィーン 23日 ロイター] 福島第1原子力発電所の放射能漏れで原発の安全性への懸念が国際的に高まる中、ハーバード大ケネディスクールの核問題専門家、マシュー・バン准教授は、原発には災害対策と同様、テロ攻撃への備えも緊急に必要だと警告している。

 バン准教授は「アルカイダやチェチェンのテロリスト集団はともに、原子炉の破壊工作を繰り返し検討しており、そうした攻撃が引き起こすであろう恐怖について、福島は説得力ある事例を提供した」とブログ上で指摘。さらに「多くの国の原発産業は、事故や災害への対策に比べ、警備対策がおろそかだ」とし、一部の国の「安全対策は非常に脆弱(せいじゃく)」だと述べた。

 国際原子力機関(IAEA)は20日からウィーンで閣僚級会合を開催しており、天野之弥事務局長は安全対策の強化を訴え、世界中の原発での不定期検査実施などを提言している。また、向こう1年半以内に加盟国の全原子炉について、福島原発を襲ったような自然災害に耐えられるかどうかを確かめるため、リスク評価を実施すべきだとも訴えている。

 IAEA閣僚級会合は24日に閉幕するが、こうした天野事務局長の提言は、安全対策を国内の問題にとどめておきたい一部の国からは抵抗を受ける公算が高い。

 バン氏は、天野事務局長の提言は賢明だと評価しながらも、重要なポイントを見落としていると指摘。「福島のような惨事は災害だけでなく、テロ行為によって起きる可能性もある」とし、「次の大規模な放射能漏れが誰かによって故意に起こされる可能性は、純粋に事故で起こる可能性より大きいだろう」と述べている。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPJAPAN-21880020110624