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「介護難民」発生の恐れ 福島原発警戒区域の9市町村(河北新報)

2011-07-03 14:21:11

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福島第1原発事故により多くの住民が避難生活を送る福島県浜通り地方の市町村で、要支援・要介護の申請が急増している。ストレスや運動不足で体調を崩す高齢者が多いとみられる。これに対し、役場機能や職員が避難している自治体は、介護サービスを十分に提供できていない。要介護認定を受けてもサービスを受けられない「介護難民」が生まれつつある。(加賀山仁、橋本俊、佐藤夏樹)

 全域もしくは一部が警戒区域(原発から20キロ圏)になっている福島県の9市町村によると、震災から約3カ月間で新規に受け付けた要介護認定の申請は計約800件。
 内訳は南相馬市約300件、浪江町約170件など。いずれも昨年同時期の倍以上に増えた。富岡町も約135件で既に前年1年間の実績106件を超えた。葛尾村と川内村も増加傾向という。
 震災前、9市町村では計約5000人が要介護認定を受けていた。県相双保健福祉事務所によると、管内の特別養護老人ホームや老人保健施設は警戒区域外の相馬市と新地町などを除き、大半が休止中。
 市町村の介護認定審査会も南相馬市を除き開けず、避難先自治体の支援でようやく制度を運用している。要介護度の軽い人のケアまで手が回らない状況に陥っている。
 二本松市に臨時役場を設けた浪江町は、同市や福島市に避難した町民については職員が訪問して相談に応じる。遠い場合はそれぞれの自治体に依頼している。
 浪江町は「十分なサービスを提供したいが、町職員のやりくりは限界。ぎりぎりになっている」と話す。

◎専門職増員急げ
 安村誠司福島県立医大教授(公衆衛生学)の話 生活リズムや食生活の変化は、高齢者の健康に影響する。保健師の指導の下で身体的負担の軽い運動を行うよう勧めている。震災前も福祉専門職は不足気味だった。国は専門職員の増員や認定審査の簡略化などを急ぐべきだ。
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/07/20110703t65009.htm