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ロイター企業調査:電力不足問題、製造業の海外シフト要因に(Reuters)

2011-07-14 15:28:10

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[東京 14日 ロイター] 現在停止している原子力発電所の再稼動問題についてロイターがまとめた企業調査によると、原発停止が企業活動にとってかなりの制約になるとの回答が製造業で4割弱に上ることが明らかとなった。

 中長期的な電力不足やコスト上昇が海外シフト要因になると回答した企業は製造業の25%を占め、「わからない」と回答した「様子見組」を将来的な海外シフト予備群として含めると50%に達し、電力問題が製造業の空洞化につながる可能性が浮き彫りとなった。

 今回の調査期間中の6日、菅直人首相は原子力発電所に新たなストレステストを導入することを発表している。調査期間は6月27日から7月11日まで。調査対象は400社、回答社数は267社程度。

 <原発再稼働は製造業への影響大きく>

 各地の停止中の原子力発電所の再稼働が難しい状況になっているが、今後1、2年を見通して「企業活動の制約になる可能性がある」との回答は製造業で38%を占めた。非製造業では9%。どちらも「さほど大きな制約にはならない」との回答の方が多いが、今後の影響について「わからない」との回答も含め、5割程度の企業が不安や制約を感じている姿が示された。

 <電力不足でが海外シフトは予備軍含め50%、電機は積極的>

 停止中の原子力発電所の再稼働が遅れたり、火力や再生可能エネルギーへの転換が進む場合でも、その過程で中期的に電力不足や電力コスト上昇の可能性があるが、こうした事態を業務拠点の海外シフト要因と捉えているのは、製造業で25%となった。「わからない」との回答も25%にのぼり、将来的に海外シフトを選択する可能性もある。合わせて5割の企業が海外シフトする可能性もありそうだ。

 特に電力の安定供給が生産活動に欠かせない「電機」は、この問題で海外シフトが避けられないとみている。海外シフト要因に「なる」との回答が50%、「わからない」を含めると79%にのぼった。石油・窯業も38%、「わからない」を含めると51%、輸送用機器は27%、「わからない」を含めると47%となった。 

企業の間では「大震災や電力不足が海外進出の背中を押している」(電機)との厳しい見方がある。「自動車メーカーの海外生産移転が促進される見通しのため」(輸送用機器)など、取引先の移転に伴い自社も移転する意向を示す声も寄せられた。

 <国内設備投資は震災前より抑制する企業が1割>

 設備投資計画について、大震災の影響を調査したところ、「震災前と変わらない」との回答が全体の86%となった。震災後も企業の投資計画が大きく変化していないことがうかがえる。

 一方で、国内投資に絞って聞いたところ、震災前より抑制するとの回答が10%を占め、中でも、鉄鋼・非鉄や輸送用機器などは20%以上を占めた。電機や金属・機械も10%以上に上った。非製造業でも小売りが10%、サービス・その他で13%となった。国内投資については「売り上げが伸び悩む中、積極的な設備投資へのかじ切りは難しい状況」(サービス・その他)との声もあり、「海外投資活発化が雪崩を打って発生する予兆があり、海外投資を加速するのは自然」(電機)とのコメントが寄せられている。

 国内投資を「増やす」との回答には「節電対策」や「国内分散生産の推進」といった内容が目立った。

<供給より需要回復出遅れ、受注水準は4割が震災前を下回る>

 大震災後の供給・需要の回復度合いを聞いたところ、震災前を下回るとの回答が生産やサービスの供給体制については全体の10%の企業だったのに対し、需要水準については39%にのぼった。特に内需の戻りが鈍く42%を占めたほか、外需でも23%が下回っていると回答した。

 (ロイターニュース 中川泉;編集 宮崎亜巳)

ロイター企業調査:東日本大震災の影響






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ロイター企業調査:東日本大震災の影響






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