世界の食品廃棄物、2025年には現在より半減を宣言 ネスレ、イオン、キリンなど400社加盟のグローバル団体CGF。栄養不足人口縮小、温暖化抑制への貢献を視野に(FGW)
2015-06-28 16:42:52
世界の食品・消費財メーカーや流通企業が参加するザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)ニューヨークで開いたCGFのグローバル・サミット会合で、食品の製造や販売の過程で生じる食品廃棄を2025年までに半減する目標を掲げることで一致した。
国連によると、世界の栄養不足人口は7億9500万人で、栄養不足人口率は1990-92年期間の18.6%から、10.9%まで改善はしている。しかし、依然、人口の10人に一人は必要な食事がとれていないことになる。
一方、現在、生産されている食料をカロリーベースでみると、毎年、3分の1(重量で13億㌧)は消費されずに廃棄されており、経済的損失は7500億㌦に達する。また食品廃棄に伴うCO2排出量をカーボンフットプリントとみなすと33億トンに達し、中国、米国の排出量に次ぐ規模となる。また食品廃棄に伴う水の浪費は、スイスのジュネーブにあるレマン湖の水と同量のウェーターフットプリントになるという。食品・消費企業にとっても廃棄物の削減は、費用削減につながる。
CGFはこうした活動を年末に予定される第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)に向けた食品・消費業界としての貢献活動と位置付けた。気候変動は 消費財産業に多大な影響を及ぼすという判断からで、今回の決定(Food Waste Resolution)を、森林伐採減少、カーボン冷凍化と並ぶ業界の国際的協調政策の3つの柱に据えた。
CGFは2016年に加盟企業による食品廃棄の規模を測定し、同年の実績を基に25年の目標を設定する。加盟企業が廃棄の量を監視し、消費段階での廃棄を縮小するほか、生産や販売段階での損失も抑制する。CGFは参加企業を通じて、目標達成に向けて、消費者にも食べ物を安易に捨てないよう呼びかける活動を展開する。
CGFには米ウォルマート・ストアーズや仏カルフール、英マークスアンドスペンサーなどの流通世界大手も参加する。CGFの決定に拘束力はないが、目標を達成できる企業と、そうではない企業は市場、顧客の選別を受け、競争戦略に影響を及ぼす可能性もある。