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大規模太陽嵐になれば甚大な影響も=米国(Reuters)

2012-08-06 16:58:41

アラスカで観測されたオーロラ(2012年3月10日、米アラスカ州ノーム近郊)
【ワシントン4日ロイター時事】米国では今年は干ばつや熱波、大型の嵐などの異常気象に次々と見舞われているが、これよりもはるかに甚大な影響を及ぼす恐れがあるのが太陽のスーパーストームだ。

 全米科学アカデミー(NAS)によると、大規模な太陽嵐が起こると、米国の2100カ所以上の高圧変電所のうち300以上が破壊される可能性があるという。米連邦政府の諸機関は今年、こうした太陽嵐に備えて連携を強めている。太陽は活動拡大期に向かっており、そのピークは来年になると見られているためだ。

 米国の一部の専門家は、今後10年間でスーパーストームが発生する確率は7%と予想している。これは低い確率のように見えるが、大型隕石と同じように、実際に起こればその影響は極めて広範囲に及ぶため、当局者は警戒している。

 これだけの規模の磁場嵐の確率は極めて低いが、打撃は大きい。ちなみに大きな隕石が地球に落ちてくる確率は1%の何分の1かだ。

 インドで7月に6億人が2日連続で何時間かの停電被害に遭ったように、いったん停電が起こると市民生活は混乱状態となる。しかし、大規模な太陽嵐の影響で発生する可能性がある長時間の停電は、より深刻でよりコストのかかる被害をもたらす。

 このコストがどの程度になるかについては予想にばらつきがあるが、米政府と産業界の専門家は、足並みをそろえた対応が求められる複雑な問題になると見ている。NASの報告によれば、スーパーストームの際には米本土の365カ所程度の変電所が故障を起こしたり、全体の設備を交換しなければならないほどの打撃を受ける恐れがあるという。

 北米の電力網を監視している北米電力信頼度協議会(NERC)は、スーパーストームで数百カ所の変電所が失われる可能性があるとの予想には異議を唱え、停電は起こるだろうが、変電所の破壊にはつながらない公算が大だとしている。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012080600516

アラスカで観測されたオーロラ(2012年3月10日、米アラスカ州ノーム近郊)