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三菱航空機:MRJ受注目標を大幅引き上げ 低燃費で脚光(毎日) ジェット機も燃費競争へ

2012-10-11 07:26:38

MRJの模型を前に笑顔を見せる三菱航空機の江川豪雄社長=名古屋市港区の「ポートメッセなごや」で2012年10月9日、高橋昌紀撮影
国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」について、三菱航空機(名古屋市)が受注目標の大幅引き上げを表明した。要因には「主戦場」と位置付ける米国市場での受注成功がある。航空会社の経営を圧迫する燃油高騰の中で、セールスポイントの低燃費性能が評価された。

 「従来の1000機では足りないのではと航空会社からの心配の声があった」。名古屋市で開催中の国際航空宇宙展の会場。受注目標を1500機に引き上げたことについて三菱航空機の江川豪雄社長はこう語った。

 今年7月、米国の地域航空会社大手スカイウェストと計100機を契約し、全体で受注は230機に達した。三菱航空機は「カナダ・ボンバルディアとブラジル・エンブラエルの小型ジェット機の世界2強でさえ、初飛行前にこれほどの受注を獲得していない」(広報担当)と言う。

 MRJの切り札は米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)社製の最新型エンジンだ。従来機に比べ燃費を約15%削減。最新の米ボーイング社製B787の成功が示すように、航空会社にとって経済効率性は最大の機種選択要件となっている。開発中の機体も含め、現時点でP&Wの最新型エンジンを積めるのはMRJだけだ。

 11年6月にはボ社とカスタマーサポート契約を結んだ。MRJの部品調達、在庫計画などについて世界中にネットワークを持つボ社が支援する内容だ。ボ社は中型・大型機が主力。「MRJと競合しない。協力できる余地は大きい」(ボ社幹部)という。

 地域航空会社などにとって、近距離移動に適した小型ジェット機の需要は大きい。今後20年間では5000機の需要が見込まれる。新機種の開発競争には中国、ロシアが参戦。老舗のエンブラエルも新型機開発を表明するなど競争は激しくなっている。MRJは開発スケジュールを遅らせたことが2回あり、市場の信頼を維持するには現在の初飛行スケジュール(13年10〜12月)の確実な履行が必須だ。【高橋昌紀】

MRJの模型を前に笑顔を見せる三菱航空機の江川豪雄社長=名古屋市港区の「ポートメッセなごや」で2012年10月9日、高橋昌紀撮影


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