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泉南アスベスト訴訟、二審は原告側が逆転敗訴 大阪高裁判決(各紙)

2011-08-25 20:22:17

大阪府南部の泉南地域にあったアスベスト(石綿)関連工場の元従業員や周辺住民ら32人が「石綿で健康被害を受けたのは国が石綿の規制を怠ったため」として、国に総額約9億4600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。三浦潤裁判長(退官のため田中澄夫裁判長が代読)は「国の規制措置には一応の合理性があった」として、賠償を命じた一審判決を取り消し、原告の請求をすべて棄却する原告側逆転敗訴を言い渡した。


昨年5月の一審・大阪地裁判決は「必要な規制を怠った」として、石綿被害で初めて国の不作為責任を認定したが、この日の高裁判決は、国は医学的知見や工学的知見の進展などに合わせ、粉じんマスク、排気装置の普及を進めていたとして「違法となるような規制権限の不行使には該当しない」との判断を示した。




 一審判決は、国が1959年までに石綿肺との関連性や対策の必要性を認識したと認定し、旧じん肺法が成立した60年までに排気装置設置などを義務付けなかった点などを違法と判断。国には企業との共同不法行為責任があるとして、周辺住民らを除く26人に計約4億3500万円の支払いを命じた。




 周辺住民ら3人の請求は「疾病と石綿粉じんとの因果関係が認められない」と退けた。




 一審判決後、国側、原告側の双方が控訴。控訴審で三浦裁判長は和解の可能性を検討するよう国に要請したが、国は拒否していた。控訴審では訴訟中に死亡した原告の遺族らを含め32人が原告となった。