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JBIC ラオスの「日の丸支援」水力発電事業へプロジェクトファイナンス2億ドル 総事業費6億ドル 環境・社会配慮に課題残す(FGW)

2014-08-20 16:36:22

ナムニアップ水力発電所のイメージ
ナムニアップ水力発電所のイメージ
ナムニアップ水力発電所のイメージ


国際協力銀行(JBIC)は、関西電力やタイ電力公社(EGAT」)傘下の子会社、及びラオス人民民主共和国政府傘下の企業LHSEがそれぞれ出資するラオス法人ナムニアップ1電力会社(NNP1)に対して、同発電プロジェクト向けに、2億米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンスでの貸付契約を締結した。

 

同事業は、JBICのほか、アジア開発銀行、民間金融機関等との協調融資で、協調融資総額は6億4300万米ドルとなる。 実施主体であるナムニアップ1電力会社は、関西電力の100%子会社であるケーピック・ネザーランド(KPN)社が45%、タイのEGATの子会社が30 %、残りの25%をラオスのLHSEが出資している。

 

同プロジェクトは、NNP1がラオス中部のボリカムサイ県ナムニアップ川(メコン河の支流)で建設を進めている水力発電事業で、高さ148メートル、貯水池面積67平方キロメートルのダムを建設する。建設工事は日本の大林組が受注している。総発電容量290MWのダム式水力発電所を建設・所有・操業する。プロジェクトは発電した電力の大半をタイのEGATに対して27年間にわたって売電を行うほか、一部は、ラオス電力公社にも売電する。

 

ただ、アジアの環境NGOらは、建設事業に伴う環境・社会的影響が、アジア開発銀行の基準に照らしても不十分であるほか、建設に伴って移転を余儀なくされる少数民族モン族への事前の説明や、移転地周辺の農地整備等が進んでいない点、さらにダム建設に伴って河川の生態系が大幅に変更し、下流の住民の生活にも影響を与える点等への配慮が十分ではない、との批判が集まっていた。

 

JBICは、今回の融資について、「日本企業の海外インフラ事業への参画を金融面から支援し、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するものであると共に、再生可能エネルギー源である、ラオス国内の豊富な水資源の有効活用を促進することで、CO2排出量の低減にも貢献する」と指摘している。

 

http://financegreenwatch.org/jp/?p=43696

http://www.mekongwatch.org/PDF/pr_20140813ENG.pdf

http://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2014/0819-27804