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ブラックホール化する日銀の国債購入(Reuters) 2018年までに国債の半分が日銀保有に。にもかかわらずデフレは続く

2014-11-07 00:30:48

黒田日銀総裁。ブラックホールの生みの親
黒田日銀総裁。ブラックホールの生みの親
黒田日銀総裁。ブラックホールの生みの親


[5日 ロイターBreakingviews] – 日銀の国債購入は「ブラックホール」の様相を呈し始めている。政府が発行する国債は日銀が吸収し続け、そこから2度と市場に出て来ない──。少なくとも、それが投資家の信じたいことだ。もし彼らの期待が変われば、日本国債市場への影響は厄介なものになりかねない。

日銀の国債保有額はすでに約200兆円に上り、公的債務残高の24%に相当する。その日銀は先週、追加緩和に踏み切り、国債買い入れ額を年間50兆円から80兆円に拡大した。公的支出が大幅に増減しないと仮定すれば、来年には国債発行残高のさらに7%が日銀の重力に吸収されることになる。このペースが続けば、2018年までには日銀が国債の半分を保有することになる可能性がある。

 

物価上昇率が2016年のどこかの時点で目標の2%に近づけば、日銀は資産買い入れをトーンダウンさせるかもしれない。ただそれでも、日銀は日本の国内総生産(GDP)の70%に相当する国債を持つことになる。日銀がバランスシートを縮小させるのは非常に困難になるだろう。

 

それはなぜか。日銀が国債保有額を2007年当時と同程度の対GDP比12%に減らすと決断したとする。日銀は市場での国債売却や、満期償還金を国債に再投資しないことでそれを行うだろう。いずれの方法にせよ、そうなればGDPの3%に相当する国債を他の投資家が20年間買い続けなくてはならなくなる。

 

日銀の代わりとなるこれら投資家が非常に高い(かつ潜在的に不安定な)利回りを求めないようにするため、日本政府は債務を減らす必要に迫られる。しかし、社会保障費の削減や、来年に予定されている10%への引き上げを超えた消費増税は、政治的に困難を伴うだろう。さらに、同時並行して財政・金融政策の引き締めが行われれば、日本の消費経済は半永久的な停滞に陥りかねない。

 

より合理的な見解は、高齢化する日本社会には大幅なインフレは訪れないというものだ。今のところ、賃金の持続的上昇は見込めないことがはっきりしている。中央銀行は国債を売却する必要に迫られることもなく、日銀の金庫はブラックホールと化す。そこに飲み込まれた国債は2度と外には出て来ず、市場に残る国債は高価な軌道上にとどまることなる。正誤はともかく、投資家はそれに賭けている。

 

 


日本国債市場で高まる日銀の存在感