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02年解散の経団連主導・官民ファンドの「JAIDO」 政府出資分(税金)の7割強が焦げ付く。ずさん投資(東京)

2015-02-16 14:10:24

JAIDOキャプチャ
JAIDOキャプチャ開発途上国への支援を目的に設立され、二〇〇二年に解散した官民ファンド「日本国際協力機構(JAIDO=ジャイド)」が実施した四十八の投資事業の多くが「有効性が低い」と第三者機関から評価されていたことが分かった。ずさんな運用のため、民間企業の資金回収は不透明で、公的資金の約73%が回収できないままとなった。官民一体の支援のあり方があらためて問われそうだ。


 経団連の主導で一九八九年に設立されたジャイドには、日本企業百三十一社の出資に加え、現在の国際協力機構(JICA)の海外投融資を活用。開発途上国への直接投資を推進するのを目的に、総額約百六十三億円(うち公的資金は六十三億円)、計四十八件の事業に出資や投資をしたが、赤字が続き〇二年に解散した。




 この官民ファンドについてJICAの依頼によって日本政策投資銀行の関連機関が事業の成果を検証した。それによると、出資した資金の回収率が大幅に低い事業があることを指摘。「支援の有効性が低かった」と総合評価していた。評価がされた時期も二〇一〇年と、ファンドが解散してから八年後だった。




 こうした有効性が低い事業に出資したことにより、「JICAに損失があった」と指摘、出資した公的資金の回収率は26・6%にとどまり、73・4%にあたる四十七億円余りは回収できなかった、としている。




 ジャイドによる事業は、インドネシアやフィリピンの工業団地建設のほか、ロシアやハンガリー、サウジアラビアなど二十四カ国で行われていた。関係者によると、こうした事業のなかには「活動実績がなかった」ものもあったほか、サウジアラビアの製薬事業では「現地の建設会社に対し不当に高く支払っていた」こともあったという。




 ジャイドの投融資案件にかかわった経団連の当時の関係者は「貿易黒字の還流を目的に民間ベースで経済協力性の高い事業に出資や融資をした。その使命を終えて解散したものと認識している」と話している。




 <日本国際協力機構(JAIDO)> 経団連が主導して1989年に会員企業の大手メーカー、商社、銀行、生保、損保など日本企業131社と関係団体の出資で設立された官民ファンド。出資比率は民間側が61.47%、政府側は現在の国際協力機構(JICA)に統合された海外経済協力基金(OECF)が38.53%。48事業に出投資総額は163億円に上った。うち政府系資金は63億円。02年3月に開いたジャイドの臨時株主総会で解散が承認された。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015021402000253.html