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世界中の5歳以下の子供の死亡原因の4分の1は、大気・水質汚染や受動喫煙などの環境悪化が原因。 世界保健機構(WHO)が新報告書で指摘(RIEF)

2017-03-06 17:52:07

WHO1キャプチャ

 

 世界保健機関(WHO)は6日、5歳未満で死亡する世界の子供の4 分の1は、大気や水の汚染、受動喫煙などの生活環境の悪化が原因とする報告書を発表した。環境悪化の影響で死亡する子供の数は、年間170万人(2012年)に上る。

 

 報告書は「Inheriting a Sustainable World: Atlas on Children’s Health and the Environment 」。子どもの健康と環境の関係について焦点を充てた初のレポート。報告書によると、2012年に5歳未満で死亡した子供は約655万人。このうち約26%に当たる約171万人は環境が大きな死亡原因と推定した。

 

 環境要因での死亡で最も多いのが、肺炎など呼吸系疾患で約57万人。大気汚染や受動喫煙などが主な原因となる。ぜんそくは世界的に子供の最も深刻な慢性疾患の一つになっているとした。温暖化の進行によって気温が上昇、花粉の分散が広がることで、子どものぜんそくが加速されるとも指摘している。ぜんそくにかかっている子どもの44%は、こうした環境要因によって罹患していると推計している。

 

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 また清潔な水の不足や、不衛生な環境によって、子どもたちがさまざまな疾患に罹っていると指摘。環境を改善すれば、大幅に子どもの健康への影響は減少すると指摘している。清潔な水へのアクセス不足が原因の下痢を伴う疾患で約36万人、早産などで乳児約27万人、マラリアで約20万人が死亡している。また有害物質を誤って服毒したり、落下、溺死などの生活環境の不備での死亡も約20万人に達している。

 

 地域別にみると、下痢を伴う疾患はサハラ砂漠以南のアフリカや東南アジア地域で最もひどく、政府が公衆衛生や水管理を整備することで改善できるとした。最近の世界的な課題としては、携帯電話の不十分なリサイクルなどで排出される電子ゴミ(有害物質)や、地球温暖化による二酸化炭素(CO2)の排出増加などが、子供の健康や生活環境の悪化につながっている可能性を指摘している。

 

 電子ゴミは、2014年から18年までの間に、世界全体で19%増加する見込みで、18年には5000万立方㌧に達すると言う。

 

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 WHOの公衆衛生・健康環境社会局のMaria Neira局長は「環境悪化が子どもの健康に重大な影響を与えていることが明らかになった。水質の品質改善や燃料のクリーン化などを進めて、環境リスクを取り除くことへの投資が重要だ」と各国の対応を求めている。

 

http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2017/pollution-child-death/en/