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人類による地球破壊までの残り時間を示す「終末時計」、昨年同様の「あと2分」の状態。世界は新たな危機「ニューアブノーマル(新異常態)」に突入、と宣言(RIEF)

2019-01-26 01:00:38

Time1キャプチャ

 

 米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ(Bulletins of the Atomic Scientists)」は24日、人類による地球破壊までの残り時間を比喩的に示す恒例の「終末時計(Doomsday Clock)」の時刻を、昨年と同じ残り2分と発表した。同時に世界の状況が、新たな「ニュー・アブノーマル(新異常態)」に入っている、と危機感を示した。

 

写真は、ワシントンで開いた記者会見で、「終末時計」の時刻を発表するジェリー・ブラウン前カリフォルニア州知事(左)とウィリアム・ペリー元米国防長官=2019年1月24日撮影)

 

 同誌のレイチェル・ブロンソン(Rachel Bronson)社長兼最高経営責任者(CEO)はワシントンでの記者会見で、終末時計が今年は進まなかったことについて「安定のしるしと捉えるべきではない。もっとも危険だった冷戦期と同じほど憂慮すべき状態にある」と指摘。現状を「ニューアブノーマル(新異常態)」と表現した。

 

 「ニューアブノーマル」は、世界経済が危機を回避しても以前の姿に戻れない常態に変わってしまうという意味で「ニューノーマル(新常態)」が指摘されることになぞらえた。これまで世界の政治をリードしてきた米国の変調が、核の脅威、温暖化の脅威の両方を高めている、と述べている。

 

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 トランプ政権の発足で、米国は自国主義に陥り、イランとの核合意を一方的に放棄した。またオバマ前政権時代の核軍縮路線から、核兵器の近代化戦略の推進へ転換し、中距離核戦力全廃条約(INF)からの離脱も宣言するなど、「アブノーマル」を加速させている。

 

 トランプ政権が北朝鮮との交渉を深め、北朝鮮の核の脅威を減じられると、ノーマル化が期待できるが、「ブレティン」誌は北朝鮮との交渉に懐疑的なスタンスを示している。交渉そのものが「ニューアブノーマル」かもしれない。

 

 トランプ政権は温暖化対策では、パリ協定からの離脱を正式に打ち出した。気候変動の激化が毎年進んでいるにも関わらず、効果的な温暖化対策をグローバルに展開できる可能性に疑念が生じている。温暖化対策は地球全体の課題で、一カ国だけでの対策では効果がないのに、強引に離脱する米国はアブノーマルそのもの、というわけだ。

 

 さらに、事実の操作やフェイク(偽)ニュース、情報過多などの要因により、人類による地球破壊の危機が過去最大規模に達していると説明している。最近発覚した日本の厚生労働省の統計誤操作の長期間放置や、安倍首相の「モリカケ問題」のうやむや化などは、「フェイク・ジャパン」のアブノーマルさを世界に示す形、との指摘も出そうだ。

 

 「ニューアブノーマル」から抜け出すには、各国の市民、国民が「ノー」と言えるかどうかだ。市民、国民もポピュリズムに浮かれて、近視眼的な政治家に踊らされているようだと、ニューアブノーマルは極限にまで高揚し、「終末時計」は、2秒の針を進め、真夜中の時を刻むかもしれない。

 

https://thebulletin.org/2019/01/press-release-welcome-to-the-new-abnormal/

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