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福島第一原発 破損ホースからの汚染水、港湾内に流入。過去最高濃度に上昇、外洋への影響も(FGW)

2015-06-01 12:46:41

fukushimahourse4キャプチャ

東京電力福島第一原発で29日に排水側溝に敷設した耐圧ホースが破損して放射能汚染水が漏えいした問題で、漏れた汚染水が港湾内に流れ込み、東電の発表で、4カ所で採取した水から、過去最大の値を記録した。

 

東電は、その後、濃度が下がっていることと、港湾口の連続モニターの数値に変動はないことなどを理由として、「現時点で外洋への影響はない」としている。しかし、港湾口と外洋の間は、魚類の移動を封じるためのシルトフェンスが敷かれているものの、海水は制限なく流出入しており、影響が及ぶ可能性がある。

劣化して破損した耐圧ホース。「耐圧」であっても、耐久性に問題あり
劣化して破損した耐圧ホース。「耐圧」であっても、耐久性に問題あり


 東電によると、29日朝に採取した海水からストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質を港湾内の1号機取水口前で過去最高の1㍑あたり290ベクレル、2号機の取水口前でも同240ベクレル、港湾中央で190ベクレルと、いずれも過去最高値を検出した。また1ー4号機の取水口北側では320 ベクレルと、前日の約4倍に上昇した。その後31日には、それぞれ140,130、31,110ベクレルに減少している。

 

 ホースで移送していたタンク内の貯留水を分析した結果、ベータ線を出す放射性物質(全ベータ)が1㍑当たり110万ベクレル含まれていた。ホースに亀裂が見つかった場所の下流で採取した水の全ベータは2万2000ベクレルだった。

fukushimahorse2キャプチャ

 

今回の耐圧ホースの破損事故は、第一原発内で事故処理のために設置されているタンクやホース、その他の設備が事故以来4年以上を経過して劣化がかなり進んでいるとみられることと、いったん、排水溝に汚染水が漏れ出ると、港湾にも流出し、その後は海水の流出入を遮断できない状態が一向に改善されていないことを浮き彫りにした。「漏れてしまえば仕方がない」といった状況に陥っているリスクがある。

 

 また、漏れた汚染水の測定を、事故処理を担う東電自身が実施しており、測定された汚染濃度への信頼性に問題がある点も一向に改善されていない。「東電任せ」の政府の姿勢は無責任といわざるを得ない。

 

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2015/images/handouts_150601_02-j.pdf