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東電福島第一原発で作業員事故死相次ぐ 8月早くも二人目の死者。第三者チェックのない東電の安全管理体制機能せず(RIEF)

2015-08-08 22:17:07

fukushimaworkerdeathキャプチャ

  東京電力福島第一原子力発電所で8日午前6時30分頃、52歳の作業員が汚染水対策に使われる車両のタンクのふたに頭を挟まれ、搬送先の病院で死亡が確認された。8月に入って、1日に協力企業の30代の社員が、凍土壁作業に従事した後に病院に搬送されて死亡しており、半月で2人が死亡したことになる。

 

  8日の事故は、午前6時半ごろ。福島第一原子力発電所の救急医療室から、作業員が機器に挟まれていると消防に通報があった。事故に遭った作業員は鹿島の下請け会社に所属する52歳の男性で、大型のバキュームカーのタンクのふたに頭を挟まれた。救助されて広野町の病院に運ばれたが、その後、死亡が確認された。
その約一週間前の1日、福島第一原発で汚染水対策の凍土壁設置作業に従事していた協力企業の30代の男性作業員が死亡していた。作業終了後に体調不良に陥り、いわき市の病院に運ばれたが、死亡した。死因は不明で、作業との因果関係はわかっていないという。

 

 8日のバキュームカーでの事故も、凍土壁の建設に使われていたバキュームカーの清掃を、熱中症を避けるために早朝から行っていたという。いずれも凍土壁工事に関連した作業員の死亡事故ということになる。凍土壁工事を東電が急いでいることと関係があるのか、東電自身の調査ではなく、第三者の調査が必要ではないだろうか。

 

 福島第一原発では昨年度、作業員の増加に伴って労災事故による死傷者が増え、東京電力はほとんどの作業を一時中断して、大がかりな安全対策をとった。昨年度の死傷者は64人と前の年度から倍増している。
 8月にあいつで亡くなった二人以外でも、今年1月には、雨水をためるために設置した高さ10mのタンクを点検していた50代の男性が転落して死亡している。その翌日には福島第二原発でも40代の男性が大型の器具に頭を挟まれて死亡するという連続死が起きている。
この時はさすがの東京電力も、福島第一原発での廃炉作業の大半を2週間にわたって中断して安全対策を進めた。しかし、今月に再び連続死亡事故が発生したことで、東電の安全対策が実質のあるものかどうか、疑問の声も出ている。

 東電福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏代表は、今年6月、工程表を見直した際の記者会見で「迅速さを重視したことが問題を招いていた」と述べ、作業員の安全を優先しながら廃炉を進めるとの姿勢を打ち出していた。
 特に、死傷者の多くが、経験の浅い作業員となっていることから、東電は、近く新たな訓練施設を設けて改善をはかる準備に入っていたという。しかし、今回の事故はそうした準備が間に合わなかったことを物語っている。「事故が起きてから考える」日本企業の伝統的な”失敗の構造”が連綿と維持されているようだ。