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「原発の収束作業で発がん」 札幌の男性が、東京電力、大成建設(元請)、山﨑建設(一次下請)を提訴。約6500万円の損害賠償請求(中日新聞)

2015-09-01 16:01:55

fukushimaworkerキャプチャ

東京電力福島第一原発で手作業で高い放射線を放つがれきの撤去などをし、その後、胃など三カ所のがんを発症した札幌市の元作業員の男性(57)が、安全配慮を怠り無用な被ばくをさせたなどとして、東電と元請けの大成建設(東京都新宿区)、一次下請けの山崎建設(同中央区)を相手に計約六千五百万円の損害賠償を求める訴訟を一日、札幌地裁に起こした。事故収束作業による発がんを争う提訴は初めて。

 訴えによると、男性は二〇一一年七月から四カ月間、二次下請けの作業員として1〜4号機周辺で高線量がれきの撤去作業などに従事した。被ばくを最小限にするため、重機に無線でコントロールする装置を取り付け、作業員は鉛を張った大型トラックの貨物室の中でカメラモニターを見て遠隔操縦するはずだった。

 しかし、重機の爪ではつかみ切れないがれきが残った。両手で高線量のがれきを抱えて運んだり、遠隔操縦が難しい場合は重機に直接乗って作業したりすることもあった。高線量の中で長時間、カメラやケーブルの設置作業もしたという。

 多くの雇用会社は年間の被ばく線量の限度を二〇〜五〇ミリシーベルトに設定していたが、建屋周辺は非常に線量が高かった。限度を超えずに指示された作業を終えるためには、積算線量計を持たずに作業することもあったという。それでも男性の積算被ばく線量は五六・四一ミリシーベルトに達した。

 その後、男性は一二年六月に膀胱(ぼうこう)がん、その約一年後に胃がんと結腸がんが見つかった。転移ではなく、同時期にできた独立したがんだったという。男性は胃などを摘出し、重度障害者の認定を受けた。

 男性の弁護団は、手作業による高線量がれきの撤去などをさせた大成建設や山崎建設は安全配慮義務違反に当たると主張。東電に対しては、収束作業の被ばくが原因で発がんしたとして損害賠償を求める。

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 取材に対し、東電の広報担当者は「訴状が届いたら、内容をしっかり確認し、裁判で真摯(しんし)に対応していく」とコメント。大成建設は「提訴前なのでコメントするのは難しい」、山崎建設は「きちんと(作業員の安全を守る)管理がされていると思われるが、提訴後に現場の状況を確認したい」とした。

 

http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20150901152433623